short.

君と逢えた数だけ、
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君と逢えた数だけ、






「イクトってば」




「ん?」




「ん?じゃなくて、離れろー!!」




「ヤダ」




「は?!もー・・・宿題できないじゃんー」






さっきから抱きついて離れない、この変態はいったいどうしたものなのか。




けれど、甘えてくるイクトに弱いあたしはどうしても無理矢理離れさせることができないままだ。




このままだとすごい困るんだけどね。






「・・・・・・イクトー?」






仕方なく抱きつかせたまま、先程から全く動かないイクトの名前を呼んでみた。






「なぁ、」






反応したイクトは何かを話し始め、顔を上げる。






「オレとあむって今日で何回会った?」




「え?」




「オレとー、あむがー、今までに会った回数ー」






・・・会った回数って。




そんなことを言われても、わざわざ今までに会った回数は数えていないし、




第一普通の人はそんなことすら聞かないだろうと思ったが、とりあえず適当に両手を使って表現して見せた。






「・・・こんくらい?」




「んー、そんなもん?」




「じゃあ、こーんくらい?」




「もっと、いっぱい会った気がする」






適当に腕をいっぱいに広げ示せば、もっと会った、発言をするイクト。




そんなやり取りを繰り返していくうちに、段々と苛立ってくる。






「あーッ!もうっ!どのくらい会ったかなんて数えてないし!分かんないっ!」




「――――――・・・」




「てゆか、なんで?」






あたしが不意に聞けばイクトはすっと、あたしから離れ、




今度は目の前に移動してきた。






「知りたい?」




「うん」




「なんで?」




「なんで・・・って、気になるもん」




「ふぅーん」




「うん?」




「あむ」




「なに、っ・・・?」




「愛してる」




「ッ?!///」






その碧く澄んだ瞳に見つめられた。




トクン。と心臓が心地よく跳ねる。




悔しいけど、目が離せないんだ。




ああでも、待って。




そんなに言われたら、壊れてしまう。









君と逢えた数だけ、









(愛してる、と)
(数えきれない愛してるを、ただ、言いたくて)



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