「ちょっ、むくろ!これどーゆーことなの!!!?」 「おやボンゴレ。いらっしゃい。しかしいきなり冒頭から怒鳴られても読者の皆さんには意味不明ですよ?」 「……は?何言って…」 「気の利かない君の代わりに今から千種が説明するのでしばらく待っててもらえませんか。千種。お願いします」 「………はい」 「えっ、だから何が!?」 「……沢田綱吉は一か月もの間毎日黒曜に通い詰めては10月14日は俺の誕生日なんだとひたすら訴えた。 最初はああそうですか、と適当にあしらっていた骸様がそのうちまた来たんですかとうんざりした顔になり。 そのうちあからさまに顔を顰めるようになっても諦めようとしない鈍感な沢田綱吉。 毎日追い返され、最後には幻覚で黒曜の建物自体を消し去ってしまうほど嫌がられても諦めずそしてとうとう手に入れた。 念願の、骸様からの誕生日プレゼントを。 「どうぞ」今までの顰め顔からは想像もつかないくらい満面の笑みで渡された小さな箱。 一見ゲームにでも出てきそうな古めかしい箱が骸様からの誕生日プレゼントだ。 馬鹿丸出しで喜んだ沢田綱吉は早速その箱を開けようとしたが肝心のカギがない。 どうにかこじあけようと一人その小さな宝箱もどきと格闘していると骸様が笑いながら言った。 「鍵が欲しいのですか?」と。 この中に骸様からの誕生日プレゼントが入ってるんだからもちろん欲しいに決まってる沢田綱吉はぶんぶんと首を縦にふった。 すると「では…」と骸様が黒曜の制服のポケットから見とれるほど美しい仕種で取り出したもの、それは…。 『汝宝の鍵を手に入れたくば下に示す場所へ行け』と書かれた紙切れ。 間抜けな顔をして首を傾げる沢田綱吉に優しい骸様はこれまた見とれるほど美しい笑顔で言った。 「僕からの誕生日プレゼントが欲しければ、その場所に行って下さい」。 その言葉とその妖艶な笑顔に沢田綱吉は。 骸様からの誕生日プレゼントが詰まった宝箱を抱え本人的には烈火のごとく駆けだし(僕から見れば亀が走ってるくらいの早さでしたけどね:骸様談)目的の場所へと向かったのだった。 しかし、そこで沢田綱吉を待っていたのは……。 ……以上前回までのあらすじです。」 「クフフ、ありがとうございます、千種」 「前回までのあらすじってなに!?って前回なんてなかったじゃん!」 「煩いですね。作者の都合でカットになった前半部分ですよ」 「カットになったって……。つーか千種さんがあんなにしゃべんの初めてみた」 「で、ボンゴレ。箱を開けることは出来たのですか?」 「出来たよ!出来たからここに戻ってきたんだろ!」 「ほお、それはおめでとうございます。正直こんなに早く開けられるとは思っていませんでした。一か月くらいはかかるか、どこかで命の一つや二つくらい落としてくるかと思ったんですがねえ、残念です」 「………ねえ、ちょっと。今最後に残念ですっていったよね?」 「聞き間違いでしょう」 「俺のちょーちょっかんなめんなああ!っつーか、大変だったんだぞ!最初がハルの家の風呂場でお風呂入ってるハルと遭遇して殴られるし」 「クフ、良かったじゃないですか。どうせ女性の裸体見るの初めてなんでしょう?」 「っらっ!!!み、見てないよ!」 「あーそうですか。どうでもいいですけど真っ赤ですよ、ボンゴレ」 「ううう、煩いって!とにかく大変だったんだって。ヴァリアー、ロシア、アマゾン、北極に南極、そして最後が雲雀さんの家。俺死にそうになったんだからな」 「でも僕からの誕生日プレゼントにはそれだけの価値があったハズですよ?少なくとも君に取っては」 「…これ。嘘とかって言わないよね?」 「勿論です。そこに書かれていることは一字一句間違いなくその通りの意味ですよ」 「じゃあ今さら撤回するとか言わないよね?」 「勿論です。僕は嘘は平気でつきますが契約は違えたりはしません」 「じゃ…じゃあ、むくろ」 「はい」 「はい。これでむくろは、俺のものだよね?」 「いいえ」 「…………え」 「残念ですね。僕は君のものにはなりません」 「え、だって、ここにちゃんと書いてあるじゃん『誕生日プレゼントは六道骸、僕本人です』って」 「ええ、確かに。但しちゃんとその下を読んでいただかないと困りますね」 「…した?……『但し、10月14日誕生日当日にこの紙を六道骸本人に渡した場合のみ有効』」 「クフフ、ボンゴレ。残念ながら今日はもう15日です」 「え」 「つまりこの但し書きの条件から外れていますので、無効です。」 「えええええええええっ!!!!!?」 「また来年、挑戦したければどうぞ」 「そ、そんなああああああ」 end |