キリリク
□彼と彼女の恋愛事情
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(っちょっ!ま、まさかでしょ!?)
自分を包む浮遊感と真っ白な靄に嫌な予感がしたのも束の間、
「っイテっ!!」
突如戻った重力に受け身も取れないままどこかに打ちつけられて思わず間抜けな声を上げれば
「オメーが5年後のツナか」
良く知る声が楽しそうな色を存分に含んで俺の名を呼んだ。
白い霧が晴れ俺の目の前に見えた懐かしいカーペット。
顔を上げたその先に広がっているのは懐かしすぎる場所。
そして口の端を上げて悠然と佇んでいる
「……リボーン」
予想通りの人物と、その手に握られている10年バズーカによく似た見覚えのあるバズーカーに。
「………もしかしてそれ、ジャンニーニが作った5年…バズーカ?」
「ああ、そうだ。つい5分ほど前に届いてな。試しに使ってみたんだがどうやら成功したみたいだな」
ニヤニヤと、満足気に語るリボーンの言葉に愕然とする。
(…う、嘘…でしょ〜っ!!)
確かに5年くらい前、リボーンとジャンニーニが悪乗りして作った5年バズーカなるもので撃たれたことがある。
後にも先にもたった一回、それっきりバズーカの姿を見たことすらなかったけど……。
「……サイアクだ。よりにもよって今日がその日だとかマジ…有り得ない。」
信じられない、いや信じたくないこの展開。
けれど虚しいかな目の前の光景も、オレの超直感も、紛れもなく現実であることとありありと告げていて。
「…ん?なんだ悪いな、もしかしてお楽しみの最中だったか?」
「……え?」
ニヤニヤと先ほどよりも楽しそうに目を細めて俺を見るリボーン。
不思議に思ってリボーンが見ているだろう部分に視線を落とせば、準備万端で待機している自身の昂りが目に入る。
「…っわああああ!!!」
「オメーのとこだからまだ童貞なんじゃないかと多少は心配してたが、さすがにそこまでダメダメじゃなかったか」
「…なっ」
「悪かったな。まあ5分経てば元に戻るはずだから、そっから楽しめ」
「…っ」
からかうように笑うリボーンの言葉に従うのは癪だったけど。
かといって待つ以外他に方法なんてないことくらい俺にだって痛いくらいよくわかってるから、昂ったままの自身と焦る気持ちをどうにか宥めながら仕方なく時間が過ぎるのを待つ。
……が。
「…ねえ、ちょっとリボーン」
元の世界に戻るのを待つこと30分。
「これいつになったら戻れるんだよ!5分で戻れるんじゃなかったの?」
いつまで経っても全く戻れる気配がない。
「……知るか。ジャンニーニからの説明書には5分って……、あ、悪い。5時間の間違いだったようだ」
「ごっ!!!?」
5 時 間 で す と っ!?
ありえない展開に続く、ありえない死刑宣告に、
「……あああ、もう、ダメだ」
なす術もなく、へなへなと崩れ落ちる俺をまるで笑うように、
窓からは朝陽がさんさんと降り注ぎ、家の外ではまだ小さいランボとイーピンが元気にはしゃぐ声が響き渡っていた。
end→(おまけ)