キリリク

□彼と彼女の恋愛事情
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――――そして、今






「…綱吉君、」



恥ずかしそうに視線を彷徨わせながら顔を近づける骸に、緊張と期待で心臓が未だかつて聞いたこともないような音を立てる。

近付いているのか止まっているのかわからないほどゆっくりと距離を縮める骸の濡れた唇は果実のように美味しそうで。

早く味わいたくてじわじわと身体の中心に熱が篭りはじめるのに、なかなか触れ合わない距離がもどかしくて。

待ちきれず抱き寄せて自分から唇を合わせれば



「……ん」



想像した通りの甘さに、まるで自分が媚薬を飲んだかのようにくらくらと眩暈がする。


湧き上がる欲望のまま貪り尽くしたい衝動。

それをどうにか抑え、いつものように軽く味わっただけで解放すれば、



「……骸?」



額をつけたまま離れようとしない骸。

今味わったばかりのその唇と同じくらい美味しそうに潤んだ瞳で俺を見つめる骸の腰に手を添えて呼びかければ、ぴくりと身体が跳ねる。



「キス……下さい」



そして、その艶やかな唇から零される、



「……え?」

「…もっと、欲しい。下さい」



吐息混じりの誘惑に、一度は抑えた俺の我慢も限界で。



「……っんぅ」



誘われるまま、今度は深く口付ける。

瞬間強張った彼女の身体を自分に押し付けて、何度も何度も貪れば、いつまで経っても甘い唇と柔らかな感触に



「……ん…ふ」



時折漏れる甘い声と互いから聞こえる濡れた水音に



「……や…っ」



鼻腔を掠める骸の甘い香りに



五感を刺激する甘さに脳も身体も痺れて無我夢中で舌を絡めて味わい尽くして。



「…あ、はぁ……」


苦しいのか俺の胸を力なく叩く骸に仕方なく唇を解放すれば、荒い息を整えながら倒れるように俺に身体を預ける骸。



……なのに



「…もっと」



薬が効いているのか荒い呼吸を繰り返しながら



「もっと色んなところに、キス…下さい」



さらにその先を求めてくる、骸の甘美な誘惑に、俺のちっぽけな理性なんていとも簡単に焼ききれて。



「〜〜っ!」

「…っあ!」



本当はもっと優しくしたかったのに力加減すらできないままソファに力任せに押し倒す。



「…む、むくろ」


「…つな…よし、く…」



情欲に彩られ掠れた声で呼べば、怯えたように俺のシャツを握り締め小さな声で俺を呼ぶその姿にすら興奮して、



ゴクリ、生唾を呑む。



「…ご…ごめん、俺もうっ、」



我慢できないと、そう最後まで告げる余裕すらなくて、藍色の髪から覗く白い首筋に唇を寄せた、その、瞬間、







「………え!?」







目の前が真っ白になって、世界が揺らいだ。











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