キリリク

□彼と彼女の恋愛事情
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骸と晴れて恋人となって既に数ヶ月。

今では週の半分はどちらかの部屋で過ごしているにも関わらず、俺たちの関係はと言えば未だキス止まり。

最初こそからかっていたリボーンですら、今では『オメーのダメっぷりもそこまでいくと才能だな』なんて、呆れているくらいで。



「……別に俺だって今の状況に満足してるわけじゃないよ」



いくら俺が最恐の家庭教師を唸らせるほどのダメ男だとしたって

いくら俺が未だに経験がなくたって、腐っても、男だ。


一通りの知識もあれば一人前に欲も興味もある。

ましてや同じベッドで寝ててその気にならないなんて、聖人じゃあるまいしそんなわけがない。


けれど骸と初めて夜を共にした時、まだ牢獄から出て間もなかった骸はとても衰弱していて。

手を出すなんて、そんな鬼みたいなこと出来るわけなんてなく。

せめて彼女が日常生活をまともに送れるようになるまではと、俺の隣で幸せそうに眠りにつく骸の体温を感じながら己と闘う日々を送っているうちに、気がついたら完全にタイミングを失っていた。


(……今考えたらそれがいけなかったのかなあ)


今では全く手を出そうとしない俺に骸は安心しきっているのか、はたまた男として見ていないのか、

タイミングもきっかけも掴めず日々悶々とする俺の気も知らないで、無防備に身体を擦り寄せてくるからはっきり言って性質が悪い。

その上最近では服の露出度まであがってくる始末で……。





『いい加減ママゴトみたいな付き合いから卒業しなさいって言ってるの』

『オメーのダメっぷりもそこまでいくと才能だな』




ピンク色の液体を見つめれば、ビアンキとリボーンの言葉が頭を過り、深い溜息をつく。



(……オレだってとうに限界超えてるっての)




「だいたい最後のチャンスってさあ……」


これ失敗したらまるでもう次がないみたいじゃないか…。


そんなことを思ったら言いようのない焦燥感が体を支配し始めて。

けれど同時に、いつのまにか分厚く俺と骸の前に立ちはだかっていた壁を越えれられるかもしれないという期待も俺にもたらして。



小瓶をずっと見つめながらぼーっと想いを巡らせていた俺は、一度ぎゅっと握りしめた後、誰にも見つからないようにとそっとポケットの中へ忍ばせて、




覚悟を決めた。






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