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□カウントダウン
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ごちゃごちゃとした街の、騒がしい人々の中に、黒だらけの服装で歩くハザマは確かに浮いていた。

人々が走り回るたびに、舞い上がる埃に眉をしかめてハザマはため息をつく。

統制機構に身を置くことは、彼の目的達成のためには便利だが、今日のようにどうでもいいような任務も回ってくるので多少面倒だ。


『なぁハザマちゃん』

「…どうしました?」


一人歩くハザマに届いた声は他の誰にも届かない。ゆえに独り言のようになってしまうが、幸いな事に、喧騒の中でそれを気にする者はいない。


『気づいてるか?』

「あぁ、後ろの方達ですか?…3人ですかね」


彼の中でテルミは心底面倒臭そうに返事をした。人の流れに逆らいながら歩くハザマ以外にも、その後を追うように逆らう気配が先程から存在していた。


『別にあんな雑魚ハザマちゃんが相手する程でもねぇのによぉ』

「仕方ないですよ。人員不足です」


今回の任務は彼らの始末である。統制機構にいい感情を抱いていない人間など、山ほどいる。今回のように行動に移すまでの輩は中々にいないが。

情報が少しでも欲しい奴等にとって、統制機構の諜報部の大尉が無防備に歩いてるという、わざとらしいシチュエーションは見逃せるわけがなかった。


「3人以外はいないようですね。…そろそろやりますか」

『ハザマちゃん』

「はい?」


そろそろ人気の無いところに誘い、終わらせようとした瞬間。テルミから声がかかる。

一歩踏み出そうとした足を止めれば、後ろから人が当たる。しかし、何時であろうとハザマの中の優先順位は、己の中にいる主が一番であり、それ以外の事などどうでもいいのだ。


『5分で終わらせろ。そんで俺に構え』

「5分、ですか」


正直な話、ハザマも面倒臭いのでさっさと終わらせる気でいたが流石に短い。しかしその後に続けられた言葉に胸が踊った。


『そ。5分。できたら後でご褒美やるよ』


な?ハザマちゃんと先程とは違い楽しそうなテルミの声に、ハザマも微笑む。


「約束ですよ?」

『俺様が嘘ついたことあるかよ』

「いえ一度も」


言いながら通路に入ったハザマは確かに3人が後ろにて殺気を放つのを感じながら、振り返った。


「はじめまして。世界虚空情報統制機構諜報部のハザマと申します」


カウントダウンが始まったのを聞いて、ハザマはニッコリと微笑んだ。







end

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