おいでませルミナシア
□関係ない
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※女体化あり
※ゼロクラ(ルミナシア)要素あり
「………………はぁ…?」
永いときを彼と共に生きてきたが、こんなに動揺しているのは初めて見た。いつも通り抱きつこうとしたらしい手は行き場もなく宙に浮いていた。
「…ク、ラトス?」
「…あぁ」
何時もより高めに出た声。縮んだ背、膨らんでいないはずの胸にある膨らみ。それらを再び確認したアウリオンは今日何度目かわからないため息をした。
朝の衝撃から一時間。今トキはハロルドの元へと殴り込み…もとい事情を聞きにいっている。
「…本当に女になってるんだな」
私はといえば、そんなトキに押し付けられた服を羽織りながら彼を待っていた。彼が言うにはその服でそれはヤバイということらしいが、理解は出来なかった。
「で?アウリオンがそうなってるのはハロルドちゃんが原因なわけ?」
「昨日、ハロルドに出された飲み物を飲んだ」
「あちゃー…」
わざとらしく手を額に当てたゼロスにクラトスはため息をついた。彼はこの世界のクラトスが好き、らしい。だから最初は少し警戒していたのだが、“私”に手を出すつもりはないらしい。
「警戒心ゼロだね」
「そうだな…トキにもいくつか怒られた」
「あいつ、あんたが関わると人が変わるもんなぁ…」
苦笑いで返され、何やら複雑な気持ちになる。こちらに来て、そう日にちは立っていないはずなのに構成員全員にトキとの仲がばれたうえに、バカップル扱いである。
他愛のない話をしていると扉が開く音がして、不機嫌そうなトキが現れた。
「なんと言っていた?」
「…1日たったら元に戻るらしい」
そういいながら、トキは私の手を取りずんずんと歩き出す。足音が荒々しいのに比べて、手を掴む力は酷く優しいのにそっと笑う。
「どこ行くのよ」
完全に存在を無視されたゼロスが拗ねたように尋ねると、トキは不機嫌さを隠そうともせずにいい放つ。
「こんな状態のクラトスを他の奴に見せるわけねぇだろ。危険だ。部屋に帰る」
「いいじゃないのよ別に〜どうせアウリオンが女の子なら街中デートしてきたら?」
「いらねぇ。俺が好きなのはクラトスだ。女だろうが男だろうが関係ねぇんだよ。見た目が変わったからって中身が変わったわけじゃねぇだろうが」
そこまで一息で言いきると、再び部屋に歩き出したトキに、少し頬を染めたアウリオンが慌ててついていく。そんな様子のアウリオンに気づいたトキが軽くその額に口づけを落とし、歩く速度を緩めた。なるほど確かに逆転した身長以外に、彼らに変わったところなどなかった。
「なんか天使様に会いたくなっちゃったな…」
バカップルにあてられたゼロスは、一人寂しく呟くのだった。
end
やっちまった…!トキにあの台詞を言わせたかっただけです。
最後視点が変わるのは仕様。