おいでませルミナシア
□所有の証
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クエストを終えたロイドが食堂に入ると、そこにいたのは先日やって来た二人組だった。隣り合わせに座っている2人がこちらに気づく。
挨拶をすると二人は軽く返してくれたので、向かい側へと座ることにした。
「あれ…アウリオンってピアスしてるんだな」
しばらく話していたロイドが興味深そうに覗き込むとアウリオンは、そっと耳に触れた。その仕草はやっぱり彼に似ている。
最初は知り合いであるクラトスと瓜二つだったことに驚いたが、現在は少しだけ慣れた。違うところも意外にあるし。
「これは…トキがくれた物だ」
「トキが?」
驚いたように聞くと、隣で肘をついていた異世界のディセンダー、トキがくつくつ笑う。細められた目は少しだけ楽しそうだった。
「へぇ…でもプレゼントっていったら指輪とかネックレスってイメージだな」
そう言うと、クラトスが困ったように首を傾けながら微笑みを浮かべた。普段は隠れながちな金色のピアスがキラキラと光る。
「そんなもんすぐとれちまうだろ」
「へ?」
すると今まで笑っているだけだったトキが会話に加わる。アウリオンのピアスと同じ色をした金の目と視線が合う。
「ピアスの穴」
「?」
「俺が開けたんだよ」
なかなか消えないだろ。あの傷は。そう言ったトキの耳にも光る物があることにロイドが気付く。
「よくわかんねぇけど…トキもしてるんだな」
澄んだ赤茶色のような色合いのピアスが控えめに光る。
「クラトスにもらったんだよ」
そう言った彼は本当に楽しそうで、理解できないロイドは首を傾げる。そんな様子に、アウリオンは苦笑いを浮かべ、トキは更に笑っていた。
(お互いの目の色をしたこれは所有の証)
(クラトスは俺の)
(俺はクラトスの)
end
トキ終始楽しそう。