おいでませルミナシア
□グラニデからの訪問
1ページ/1ページ
「……ここは」
どこだろう。呆気にとられたように呟いた青年の言葉は激しく吹く風により誰にも届くことはなかった。
青年は気がついたらここにいた。確かここと同じような景色をした所で依頼をこなしていたはずだった。
ただ首を傾げるしかない状況にしばらく立ち尽くしていた青年だったが、遠くから聞こえた微かな声に、駆け出していった。
††
「ヴェイグ!」
「くっ…!」
ティトレイに呼ばれ、反射的に剣を構えながら振り向いたヴェイグは、なんとかイエティの攻撃に耐える。しかし相手に分断された今、彼らが不利なのは一目瞭然だった。
「大丈夫かぁ!ヴェイグ!」
「平気だ」
大声を出してやっと届く距離にヴェイグは内心舌打ちをした。
この状態で相手を倒すには同時に攻撃するのが一番好ましい。しかし吹雪で視界が良好でない上に声まで届きにくい。
じりじりと近づいてきた敵に、どうする、と頭をフル活用しようとした瞬間。
「本気でいくよ」
静かなる声が辺りに響き、温かな炎が敵を包む。
「緋凰絶炎衝!」
その声が聞こえると、イエティの体は炎に包まれ、切り裂かれる。炎が消えるとそれの前に立つ青年の後ろで派手な音を立てて崩れ落ちた。
「す、すげぇ…」
合流したティトレイが感嘆したように呟いた横で、ヴェイグは静かに突然現れた青年を見極めていた。
敵か味方かはたまた違う何かか。
顔を上げた青年は銀の髪をなびかせながら、人懐っこい笑みを浮かべて見せた。
「怪我は…ってヴェイグ?あれ?でも違うな…まさか」
先程とは違い険しい表情でぶつぶつと喋り出した青年にヴェイグとティトレイは顔を見合わせた。混乱した様子の青年は困ったように顔を上げると、遠慮がちに口を開いた。
「えーと…初めましてこの世界のヴェイグ。俺はルーチェ」
この世界のことを教えてくれないかい?そう言われて今度は2人が困った顔をする番だった。
end
グラニデのディセンダー参戦!
ルーチェほどのレベルになるとグラニデヴェイグとヴェイグの違いがわかる。