短編
□モノクロ
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最近、夢を見る。
誰かに呼ばれた気がした。名前を呼ばれた気がした。愛しそうな声、嬉しそうな声、悲しそうな、声。頭の中でぐるぐるぐるぐる巡っているのははたして誰の記憶か。
「…願いは、かなった?」
「あ?」
ポツリと呟いた言葉に隣でコーヒーを入れていたユーリが反応する。カチャカチャと音を立てて白が黒と混ざっていく。
「どうしたんだよ。さっきからぼーっとして」
「…ユーリ」
「ん?」
「生まれ変わりってあるのかな」
「…はぁ?」
頭の中の映像は霞がかっていて、よく見えない。元気に走り回っている【私】に、黒色が話しかける。頭を撫でられ、2人で並んで歩きだす。
「いきなりどうしたんだ?」
ぐるぐる景色が回る。並んでいた【私】と黒色はいつまにか離れてしまった。温もりだけが残り、【私】は1人泣きながら世界樹の前に立つ。
「…変な夢が」
「変な?」
「私の記憶じゃない記憶なんだけど、【私】が笑ってるの」
「…なんだそれ」
「弓の手入れをしてると黒い人が頭を撫でてくれて、2人で並んで、歩いて」
砂糖が更に入れられたコーヒーを飲みながらユーリは軽く首を傾げた。途切れとぎれに話される内容がひどく懐かしい。しかし心当たりなどない。弓を使う昔からの知り合いはレイヴンくらいだ。
「考えすぎて喉乾いた…」
「ははっコーヒーならまだあるぞ」
ぐるぐるとかき混ぜながらプロムは白と黒が混ざっていくのをじっと見つめていた。
いつも最後に【私】は叫ぶのだ。『次に生まれることが、願えるなら』
「君と、歩みたいよ」
口に含んだそれはとても甘かった。
end
すごく…電波です…
ディセンダーって最終的には1人になっちゃうな…と思ったらこうなってました。
文中のはスクレ(グラニデディセ)とユーリのことです。