グラニデ
□恋愛フィルター
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「絶氷刃!!」
敵に止めをさしたヴェイグを横目に見ながらユーリも最後に残っていた敵を仕留めた。周りにまだ敵がいないか確認する彼をひっそりと観察してみる。
彼が動くと共にみつあみがゆらゆらと揺れる。自分の髪も綺麗だとよくいわれるが、彼の髪はその色も手伝ってキラキラと輝いているようだった。
「…ユーリ?」
じろじろと観察していた俺に気づいたらしいヴェイグが、小首を傾げながらこちらに振り向く。
「いや、なんでもねぇよ」
「…なら、帰るぞ」
目標は達成した。そう言ってヴェイグは踵を返す。そうしたことで彼の綺麗なアイスブルーの瞳が見えなくなり、少し残念に思う。
「……」
歩いている最中も見ていたせいか、よく目が合う。するとヴェイグは少し居心地が悪そうに目線を反らした。目は口ほどにもの言うという言葉、は彼のためにあるんじゃないかなんて馬鹿な事を考えてみる。
「…ユーリ」
「ん?」
「俺の顔に何かついているか?」
あまりの熱視線についに根をあげたヴェイグは静かにため息を吐きながら俺を見た。
その瞳に浮かんでいたのは迷惑ではなく困惑。なんだかそれにやけに安心した。
「いや、綺麗な色してるな、と思ってよ」
「…?」
「髪だよ髪」
「…ルカやルーチェだって同じ色だろう」
「まぁそうだな」
それで終わりだと言わんばかりに目を反らされ、俺もそれ以上は追及しないことにした。
確かに彼らも銀色だ。それでもやはり前を歩く彼の背に揺れる銀色は、先ほど挙げられた人より輝いて見えるは何故なのだろうか。
釈然としない気持ちのまま俺は彼の背中を追いかけた。
(きっとそれは)
恋愛フィルター
end
髪ネタ好きですいません