グラニデ

□さらさら
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「綺麗だなぁ…」


指を通せば引っ掛かることなく通過していく。さらさらという音が聞こえてくるんじゃないかなんて馬鹿なことを考えるほどにヴェイグの髪は綺麗だ。


「…っ」

「あ、ごめん。くすぐったかった?」

「いや…」


ベッドに腰掛けたヴェイグの後ろに座り、髪をといていた指が彼の首筋を掠めた。その瞬間びくりと肩を揺らしたヴェイグの顔を慌てて覗きこむ。

緩く首を振った彼に安心して、再びその髪に手を通す。こんなに綺麗なんだから三つ編みじゃあもったいないなぁ、と思いごそごそとポケットを漁るとゴムが数本見つかった。


「ねぇヴェイグ。ポニーテールにしていい?」

「?戦闘中に邪魔にならなければ構わないが…」

「よし」


慣れた手つきで髪を持ち上げると、手を櫛代わりにして纏めていく。櫛要らず。なんて羨ましいんだろう。


「…慣れてるんだな」

「いつも自分のやってるからね…はい、出来た」


いつもは三つ編みにしかされていないそれが、少し形を変えただけでこんなにも印象が違うもなのか、と感心しながらベッドから降り、彼を見る。


「うん、可愛い」

「………」


思った事を口にすれば、じとっという目を向けられた。それに困ったように笑えば、今度は真面目な顔になったので首を傾げる。


「…俺にもやらせてくれ」

「え?」

「ポニーテール」


俺を指差しながら言うのであぁ、と返事をしながらヴェイグの横に座った。

すると控え目に髪がすくわれ、あっという間に頭の上に纏められた。


「ヴェイグも慣れてるね〜」

「お前と一緒だからな」


出来たぞ、と言われたので頭に手をやるときっちりととめられた髪に項あたりがスースーする気がする。


「スースーする」

「そうだな」


くすり、と笑ったヴェイグに合わせて髪の毛がさらりと揺れる。やっぱり綺麗だなぁ、ともはや髪に対してではなくヴェイグに対して思うルーチェだった。



(君の一部だからもっと綺麗に見えるんだろうな)






end

お揃いポニーテール

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