捧げ物

□通りすがり様へ
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目の前に座るマスターの顔に何か違和感

特に目の辺り

違和感があるからといって変なわけではなく、むしろかっこいい


「マスターって目、悪いんですか?」

「ん?」


楽譜を手にしてぶつぶつと何かを喋っていた彼がゆっくりと振り向く


「あぁ…これ?」


目に掛けられていた黒ぶちのメガネを触りながらマスターが伸びをした

一連の動作に多少ときめきながらそれは表面にださないように頷く


「…かっこいい?」


にこりと笑いながらマスターが頬杖をついた

その微笑みに真っ赤に染まってしまっている俺に彼が楽しそうに笑う


「か、かっこいい…です」

「ありがとう」


嬉しそうに笑うマスターが椅子から立ち上がり俺の座るベッドへと近づき隣へと座る

そんなに大きくないベッドがギシリと音を立てた


「実はこれ伊達なんだよ」

「え?」


じゃあなんで、と聞こうとした瞬間もう一度ベッドが大きな音をたてて

唇に触れたそれはすぐに離れていったけど

俺の頬を真っ赤に染めるには十分だった


「マ、マスター…」

「カイトの為、とか?」


俺自惚れすぎかなーと笑うマスターに俺はゆっくりと首を横に振った








end

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