捧げ物
□みあ様へ
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「で?今日は何を作るんだ?」
「えーと…」
肉じゃがとサラダと炒め物とかですかね、と言えばマスターに本当に家庭的だなと笑われ
恥ずかしくなりさっさと包丁を持ち出した
「俺も手伝うよ」
「あ、じゃあジャガイモ切ってもらえますか?」
了解、と作業に取りかかるマスターの手つきは慣れている
小学生の頃からずっと料理をしてきているからなのだろう
俺が料理を作るようになってからは「カイトの手料理がいい」とあまり作ってくれなくなってしまったが美味しさもかなりのものだ
「そういえば俺ってマスターに料理教えてもらったようなものなんですよ」
「え?そうなのか?」
「はい」
俺が今たくさんの物を作れるようになったのは本やら何やらを読んで学んだ結果であり
一番最初に料理の基礎を知ったのはマスターが小さい頃に一生懸命に料理をしているところを見ていた時だ
「そういえばお前いっつも俺の隣にいたもんな」
それは今でもあんまり変わらないかとマスターが笑い
なんだか無性に恥ずかしくなってきてマスターから目をそらした
「…っ!」
気が散っていたからだろうか、包丁で少しだけ指を切ってしまい痛みが走る
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