捧げ物
□ポピー様へ
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「…寒くないのお前…」
窓の外に見える温度計とカイトをこたつに入りながら見比べる
こたつ、といったらやはりミカンだ
しかしカイトの手に持たれているのはそれではなく
「美味しいから、大丈夫ですよ?」
むしろこの寒さの中にできれば余り見たくない物
「お前本当にアイス好きなんだな」
そう
はいっと元気良く返事をするカイトの手には季節外れのアイス
なんともミスマッチな光景だと思う
「マスターも、食べますか?」
「…寒いから遠慮するよ」
控えめに断ったのだがカイトはそうですか…、と明らかに肩を落とす
ごめんな、といえば大丈夫ですと返ってきた
「…カイト」
その手の中にあるアイスは少し溶けはじめていて
「ちょっとだけ…溶けちゃってました…」
「…口についてるよ」
スプーンから溶けだしたアイスを慌てて食べようとしたカイトの口の端に少しだけついているのはアイス、というよりも液体になった物
(…これなら冷たくなさそうだな)
「…?マスター?」
いきなり腰を上げた俺にカイトから疑問の声があがり視線がこちらに向く
それに構わずに向かい側へと座るカイトへと体を乗り出す
「!!?」
舐めとったそれは甘くて
美味しいな、と言おうとして顔を上げると、真っ赤になって固まるカイトがいた
「え?ちょ、カイト?」
カイトが気づいたときにはもうアイスは溶けきっていたという
(いらないっていったじゃないですか!)(不意打ちは反則です!!)
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あとがき