捧げ物

□ピヨ様へ
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買い物帰りのいつもの風景の中に春の訪れを感じる物が増えてきた

それは暖かい風だったり、雲の形だったり


「最近は暖かくなってきましたね」

「本当にな」


カイトと二人、手を繋ぎながら狭い路地を歩いていく

暖かくはなってきたとはいえまだまだ寒い

繋いだ手の温もりに小さな幸せを感じる


「雪、全然降りませんでしたね…」

「そうだなー」


暖冬であった今年は雪があまり降らなかったので子供達もカイトも不満があるらしい


「でも春も楽しみです」


こちらを見ながら笑うカイトになんで?と聞き返すと指折りをしながら答えだす


「花がたくさん咲いて綺麗ですし、洗濯物もよく乾くようになりますし」


二つ目の家庭的な回答に少し笑ってしまうがカイトがこちらを見ていることに気がついて首を傾げる


「それにですね」

「うん?」

「マスターの一番好きな季節でしょう?」


だから俺も好きです、と言って無邪気に笑うカイトに愛しさが溢れだしてきたがここはぐっと堪えた


「そっか」

「はい!早く春になるといいですね」

「俺も楽しみだよ」
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