捧げ物
□馨様へ
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
「…アカイト、それ、何食べてるの？」
その言葉にアカイトは食べる手を休め問いかけた彼に視線を合わせた。ひきつった笑みを浮かべる彼にアカイトは首を傾げてみせる。何かおかしな物を食べているだろうか。
「カレーだけど」
他に何に見えるんだよ、と尋ねられて彼はひきつった笑いをまたしてカレーね、と繰り返し呟く。
「じゃあさ」
なんでそんなに赤いの？
そう言われてアカイトは己が先程まで口にしていたそれに視線を落とし、もう一度首を傾げて彼に目を合わせた。
「普通だろ」
「…普通のカレーはそんなに赤くないよ…辛口でもそうはならない」
「あんなん辛口じゃねぇよ甘口だ。…なんならこれ食べてみるか？」
ほら、と一口分だけスプーンですくって差し出すと、あからさまに嫌そうな顔をした彼が見えて子供だな、と小さく呟く。
聞こえたらしい彼は一瞬スプーンの前でためらって口へカレーを運んだ
「どうだ？」
「〜っ!?」
瞬間、声にならない悲鳴をあげて台所へと駆け出した彼に小さく笑って子供だなとまた呟いた。
(それはもうカレーじゃないよ…!!)(いや、カレーだから)
end
→あとがき