ドラゴンボール

□支配権の主
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「う、ん…………痛っ!!!!!!」

ちょっと寝返りしただけなのに下肢に激痛が襲った。

どうやら息子より早く目が覚めたらしい。


とたんにさっきの行為が蒸し返る。改めて、息子に強姦られたんだという事実に絶句する。

何でこんなことになっちまったんだろ……。



優しかったお前が…あんなに狂気に染めた顔をするなんて。
まだ実感なんかはわかないでいた。
納得なんてしたくない。


でも何がオマエをこんな風に変えちまったんだ?オラの何がこんなにもお前を苦しめた?

あの時お前らをおいて死を選んだのは悪かったと思ってる。お前が一番傷ついて後悔していたこともオラでもよくわかる。お父さんは僕が殺した、と何度も言っていたと妻から聞かされた。そんなことは決してないのに、そんなことは全く思っていないに。でも己がこう言っても息子はああいう性格だから自分を攻め続けていただろう。多分、今も。

何度も誤って頭を撫でてやった。オラが悪かったって、お前は何も悪くないって優しく抱き締めてやった。

しかし、そのとき己に向けられた笑顔は……まだとてつもなく重い何かを背負っているようだった。


お前は何にそんなに苦しんでいるんだ?


己はコイツを憎んだりなんかはしていない。
むしろ心の底から、愛していると言えるだろう。
かけがえのない家族として、だが。

でも何もかも変わってしまった。己がいなくなったせいで。どんなに家族や友人たちを傷付けただろう。特にコイツはどんな拭いをしてやったらいいか自分にはわからない。

「悟飯………」

ふと横で寝息を立てる主を見てみれば、それは紛れもなく自分がよく知っている息子の慈しい寝顔だった。
それは何年経っても変わらないコトだった。
それだけは。

「ん…、…おと……さん」


寝言も、素直にいとおしいと思った。自然に、笑みも浮かんだ。


息子にあんなことをされてしまっても、恨んでなんかはいない。罪悪感も、不思議と残っていなかった。
同情や悲哀なんて思ってはいないけど、でも、溢れた涙が頬を伝っていくのだけはわかったんだ。

「ご、めんな…悟飯…」

もう元のような関係には戻れないのだろうか。それは許されてはいけないことなのか。こんな形で悟飯を失いたくない。出来るなら、ずっとずっと、これからもずっとお互いが一緒に笑っていたい。



己にまだそんな資格があるならば、だ。



己も多分一生この傷が癒えることはないだろう。
悟飯の言った通り、身体の傷はいずれ言えるがやっぱり、…心に負った傷は消えないんだな……。

己自身が負ったこの傷と、お前が負った傷を、オラが一生背負っていくよ。
これが自分に出来る精一杯のコト。これがせめてもの、自分にできる償いだと思ったから。





禁愛という名の罪を犯す。





己が誓った思念は

一生癒えることがないものとなるだろう。
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