ドラゴンボール

□聖域の亀裂に甘い蜂蜜を
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▲暗闇とは清らかな空間である。



荒い息づかいと、艶めかしい嬌声が響くこの薄暗い、この部屋に。窓から射す夜月の輝は2人の薄桃色に染まった柔肌を照らし、儚く色付けていた。

冷たい空気が、熱く濡らした息と溶け合うのを唇が感じとる。下腹部から伝わる強い衝撃。否、それは快楽へと変移していく。

ふと上位で荒い息を上げている主を見てみると狂喜の表情を上げていた。
危うく魅入ってしまう。
目にうっすら涙を浮かべ、頬を朱に染めたその色香は
とても美感に思えた。



もはや背徳的なことをしていても罪悪感なんてものには支配されず、ただ躰を揺さ振られ翻弄されるがままでいた。


野心を膨張し、紛れもない雄と化してる息子に腕を回してやり譲歩してやる。


「ご、はっん、もっ、と…」

「父、さんっ?」


一瞬目を見開いて驚いたような顔をした。案の定の反応だ。己が此れ程情欲に求むことなんて滅多にないことだから。

薄く、不吉な笑みを浮かべて息子は言った。

「っ、どうなっても知りませんからね」

正常位から後背位に向きを変えて自身の逸物をギリギリのところまで引き戻し、最奥を目がけて一気に腰を突いた。そして規律よく抜き差しを始める。

「んああぁ!ひっ、い、あっ、ああ!」

途端にブレる視界。
後ろから攻め立てられて繋がりも深いせいか、いつもより快楽が濃密であった。
下肢からの熱が一気に脳天まで達して、頭の芯がくらくらする。いたたまれない感覚に惑わされ、脳髄がとろけてしまいそうだ。

「ひぁっ!?あっ、あぁ、ぁうっ」

悟飯の逸物が自分の一番イイところに当たるのがわかった。それに気付いた悟飯はソコを執拗に擦りつけ攻め立てる。悟空の嬌声はより艶やかなものへと化していった。

「あぁっ、はっ…、うぁ、はあっ」

「可愛い…父さんっ」

容赦なく揺さ振られる躰。響く卑猥な水音と肌と肌がぶつかる音に、そして自分のものとは思えないような艶やかな嬌声。この躰のどこからこんな艶態が潜んでいたのかさえ不思議にも思えた。

己の何もかも、我が息子に満たされていたのだ。

「とっ、さん、僕…もう!」

「あぁっ、オラっ、も、イっ…くぅ!」

お互いもう限界のため、突き刺しにラストスパートをかけより激しいものに豹変させた。

「うぁっ、はっ、あ、…あああぁ!」

「ん……クッ……」

悟空がイった後の秘部の締め付けにより悟飯も達し、2人はお互いに身を委ね快楽の余韻に浸りそのまま眠りに落ちていった。




…―




「あ、起きましたか…父さん」

目蓋を開けると、隣には息子の冴えた顔があった。

己より随分早く目が覚めていたんだなと思考する。
ふと辺りを見渡すと、精液や汗でドロドロになってしまった自分の躰や衣服やシーツは綺麗にしてあった。悟飯がちゃんと後始末をしてくれたらしい。

「ん…ごは……」

怠い躰を起こそうとするが下肢に痛みが走り、うまく躰を動かせない。
アレだけ情事を激しくすれば当然のコトだろう。

「あ…もう少し寝ててもいいですよ。躰、らいでしょう?」


「…っ……///」

その言葉で先程の情事が蒸し返り、悟空は恥ずかしさのあまり頬を朱色にさせ口元まで布団を手繰りよせた。


「(な…なんて可愛らしい仕草なんだ………。)」


布団を肩までかぶって自分を見つめてくる(←睨む)愛しい人の柔らかな髪を、悟飯はふわりと優しく撫でて言った。


「………?」


「あの……ちょっと聞いてもいいですか?」


「…何だ?」

一間を置いて、悟飯は静かに口を開いた。

「お父さんは……おかしいと思わないんですか。
自分の息子と…こんなことして。」


悟飯は一瞬悟空の目が見開いたのがわかった。案の定の反応だ。でもこれを聞かずにはいられなかったのだ。
父は己のコトを想ってくれているみたいだ。けど…実の息子とこんなコトをしていて、やっぱり何も思っていない筈はない。ただのエゴで受け入れてくれてるんじゃないかって不安で仕方なかった。




「んーおかしいよなぁ。
自分の息子とこんなことしてよぉ…」


しかし悟空は刹那に思考する素振りを見せたが、むくりと起き上がりすぐに口を開いた。

「…………」

「でもさ、オメェを好きでたまらねぇこの気持ちは押さえられねえからさ。」

それにもう手遅れだしな!と、父さんはいつものあどけない笑顔で艶然した。

こっちも釣られて笑みがこぼれる。

「ははっ、父さん、らしいや!」


なんて美丈夫なんだろう。
すごく強くてたくましくて誰よりも優しい。そのあどけない艶然が、天真爛漫なありのままの貴方の姿が皆を魅入らす。

僕をどれだけ虜にさせるものだろうか………。

僕の大切な父親、かげがえのない愛しい人。


いつも、何処にいても何時(なんどき)も貴方を感じていたい。


「父さん……」


ふんわりと覆い笠ぶるように父を優しく包み込んだ。

「ん?」

伝わる温もりが心地いい。

たまらない幸福感。


すべてがすべて、愛おしいんだ。


「……愛しています」


誰よりも…そう…

誰よりも。


貴方だけを

ずっとずっと


永遠に。


「ああ…オラもだ」


悟空も悟飯の背中に腕を回し、そしてどちらからともなく縋るようにキスを交わした。

深く…深く見えぬ底まで堕ちて求めゆく。


僕達に後戻りはいらない。





聖域に亀裂が入った。
傷口が深いものとならないように、甘い蜂蜜を垂らして癒す。




もう暫くは禁忌を忘れて

愛という名の罪に
溺れてみようか。

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