ドラゴンボール
□まだ見ぬ先へと何処までも
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「なぁ、悟飯……もうこういうのやめねぇか?」
顔を綺麗な朱色に染まらせて上目遣いで、僕の愛しい人はそう言う。
「どうして?僕のこと嫌いになったんですか?」
僕は口元に緩い弧を描かせて、貴方の額にそっとキスを落とした。
「そうじゃ、なくて……」
ああ、なるほど。
僕らが男同士で…家族だから。こんなことしてはいけないんじゃないかって。いつ気付かれるのが、ばれてしまうのかが恐ろしいってことか。
いわゆる、家族の柵ってやつですね。
でもそんなの僕は気にしちゃいない。
そこに見えない壁があるのなら、そのまだ見ぬ先へと進めるように破壊すればいいだけのことだ。
禁忌だとか、タブーとか、背徳なんて関係ない。
罪悪感なんてものは微塵もない。
こうして貴方を抱けるだけでも、僕はどんな悪人にだってなれる。
「大丈夫ですよ、誰にだって知られやしません」
誰にだって知られやしない。知られてたまるもんですか。だってこれは、2人だけの秘密の営みだから。神に背いた、神聖な行為だから。
(あ、…でも神様ってデンデじゃん…)
「で、も…」
軽く僕の腕を掴み不安に染まった顔をして、まだ論っている素振りを見せる。
僕とこんな関係になってしまって、ここまで不安な思いをさせてしまったのには少し己に対して嫌悪感が現われるが、だからといって人間の本能とも言うべきこの感情を無理矢理胸に押し留めておくことなどは自分には出来ない。
これこそ、拷問だ。
「僕はただ貴方が欲しいだけなんです」
「ん、…あっ」
肩口の服を滑らせていき、柔い肌に唇を落とし朱い華を咲かせてゆく。
ゆっくりと体重をかけ、シーツの波に横たわらせ胸の飾りを琢ばむと艶めいていく貴方の吐息が、益々僕を煽る。
僕は貴方を愛してます。だから触れたい、抱きたい。
ぐちゃぐちゃに壊してしまいたい。
貴方は何も悪くない。
ただ何も考えずに、僕を受け入れたらいいんです。
やっと、やっと手に入れた貴方。もう絶対失いなんてしない、手放しなんてしません。
全ては必然。
めくるめくこの快楽、高揚感。なんて甘美なんだろう。
罪という名の愛で、貴方を引きずり堕とす。
二度とそんな口が聞けないように。
もう後戻りなんかは出来ないくらいに。
地獄の底で
愛し合おう。