ドラゴンボール
□苦い感情
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お父さん………
僕を許してくれますか?
お父さんにこんな感情を抱いてしまった僕を……許してくれますか?
好きだと言わせて……?
お父さん。
「お父さん。ちょっと聞きたいことがあるんですが…」
「ん、何だ?悟飯」
「もし…実の息子に好きだと言われたら…どうしますか?」
「ん〜…オラも好きって言うと思うぞ?」
「じゃあ…それが恋愛感情だとしたら?」
「恋愛感情!?オラがチチを思うみてぇのか!?」
「まぁ…そんなところです。」
「それはちょっと………ヤバイんじゃあ……。」
「……ですよ…ね。」
そんなの当たり前だ。実の息子にそんな事言われたら…無理に決まってる…。と言うか、それはちょっとした問題だ。
やっぱり………それでもそれでも言いたい。
この気持ちだけでも伝えたいんだ。
「僕はお父さんが好きなんです」
複雑な表情を浮かべながら意を決して言った。
今言わなかったら後から余計に苦しまなくちゃならないかもしれないから。
それでも返ってくる言葉は同じで。
「悟飯が………オラを好き?」
「はい」
「…悟……飯…。それは……いけねぇことなんじゃねえのか?おめぇは家族で……オラの息子だ。わかってっだろ?」
「わかってますよ、そんなこと。でも…そんなこと関係なしに、あなたを愛してるんです。」
「……オラもお前を愛してるよ。かけがえのない家族として。息子として。」
「僕は家族として、お父さんとしてじゃなく、一人の男性としての気持ちなんですよ。」
「でも……オラはどうすることも………。」
わかってる。お父さんを困らせてしまうぐらい。でもこの気持ちに嘘はつけないから。
悟飯は悟空の胸にうずくまった。
「お父さん…許して。お父さんを好きになってしまった哀れな僕を……許して。」
涙を流しながらそう訴えた。
心の中でこの人と親子になったことを、お父さんを好きになったことを悔やんだ。
「悟飯……。ごめん…ごめんな。」
どうしてやればいいのかわからない。悟空はただ謝ることしか出来なかった。
どうしてこんなにもコイツを悲しませてしまったのか。苦しませてしまったのか。
何をしたらコイツに笑顔が戻る?
親子な2人。
父親を愛してしまった息子。
それに答えることが出来ない父。
2人の気持ちは決して交ざることはない。
甘く、苦い感情。