ドラゴンボール
□君と、夏と、ソーダ水
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「ぅあぢぃ〜…」
「それ言うなぁ〜よけい暑くなる」
「寒い寒い寒い寒い〜」
「お決まりだな」
こんな会話が定番な、最も暑いこの時期、夏が今年も来てしまった。そして遊ぶのにもってこいの夏休み。勉強?なにそれ食べれるの?みたいな感じに大半は勉強するのを忘れて海水浴や虫捕りやらで色々と遊びまくる。そして夏休みの最後あたりになるとまるで地獄のような追込みが待っているのだ。油断していると後で大変なことになる。計画的に実行すれば苦しむことはないということを、皆はいつ学ぶのか。
嗚呼……夏って憂鬱だなぁ。
ま、あまりオレらには関係ねぇけど。
「今度さぁ、君の会社のクーラー製品ちょうだいよ」
「金、ちゃんと払ったらな」
「えぇ〜〜。僕と君の仲だしいいじゃないかぁ〜。父さんと兄ちゃんも頼んでたんだよ?」
「う〜ん…………。よし、それじゃあサービスしよっかな」
「やりい!」
トランクスが社長を勤めてるC.C.は世界的の大手会社だ。あらゆる機械製品を扱ってる。僕ん家とトランクスん家は昔から繋がりが深い好(よしみ)でただでくれたりする。しかも最新のを。父さんは全く働かないから収入なんてないし…。だから家計に関しては結構助けられていたりする。
「なんか飲み物ねぇの?」
「ちょっと待って。冷蔵庫見てくる。」
そう、ここは孫家パオズ山だ。今日は悟天ん家で2人で遊んでいる。でもこれといってやることもないので、漫画読んだり音楽聞いたりテレビ見たりしてぐーたらしている。だからよけいに暑く感じるのだ。
「ごめん。ソーダ水しかなかった。」
「おい、なんでよりによってソーダ水なんだよ。」
「前に母さんが原液のカルピ○と混ぜて飲んでたよ」
「あれうまいな。でもソーダ水単品ってのはねぇと思うぜ。俺嫌いなんだよ。」
「どうして?」
「味もねぇし…なんか炭酸がバチバチして気持ち悪い」
「そうかなぁ。僕はなんかシュワシュワしてて結構好きだよ」
「もの好きだな。
ってか喉乾いて死にそう。他になんかないの?」
「だからそれしかないよぉ。飲みなよそれ」
「いやだ」
「ふ〜ん………じゃあ…。」
悟天はソーダ水を自分の口に含んむ。それを飲み込まずにそのままトランクスの口に持っていき、口移しで飲ませた。最初の内は拒絶していたが、吐き出すわけにもいかず、飲み込んだ。飲みきれない分が2人の口の端から伝ってる。冷たかったのが2人の熱のせいで完全にぬるくなってしまっていた。
「どう?甘いでしょ?」
「………バカやろ。」
あぁ、甘いよ。
でもキスが甘いのか、ソーダ水が甘いのか、はたまたお前自体が甘いのか。どうなんだろう。
ソーダ水ってこんなに甘かったっけ?と感じるほどに。なんだか頭がボーッとしてきた。でもとても心地よい……。全部コイツのせいだ。責任…とれよな。
「もう一回…」
「……何度でも」
そしてもう一度ソーダ水を自分の口に含み、トランクスに口移しした。
何度か立場を逆にさせて、何回も何回もこの行為を繰り返した。口から、いや体全体からお互いの熱が伝わり、体が火照る。
まるでこの泡のように溶けていきそうだ……。
「暑いな」
「暑いね」
君と、夏と、ソーダ水に溺れてゆく。
今年の夏も、暑くなりそうだ。