LUCKY DOG1
□恋色冠
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今日は休み、ということで俺とルキーノは東京から離れて京都に赴いた。独特の街並みを歩きながらしたり、お寺を回ったり、色々観光した。そして今日は偶然にも夏祭りだったらしい。色んな屋台がずらりと並んで、わいわい騒いで凄い賑やかだ。すっごい楽しそう。日本独特の風情を俺たちは堪能していた。
「なんか食べるか?」
「うーん……やっぱかき氷だな」
「かき氷な、よし。買って来てやる」
「カードは使えませんわよ、シニョーレ」
「カヴォロ。小銭くらい持ってるさ」
そう言ってルキーノは屋台の方へ歩いて行った。
しっかし、ホントに人多いなぁ。なんだっけ……神輿?すっげぇでけぇ迫力半端ねぇ。それが何台か数珠繋ぎだ。周りは屋台もいっぱい並んでる。食べ物が大半だけど射的とか金魚すくいとかあって楽しそう。後でやってみようかな。ん〜…駄目だ、1人でうろうろしてたら絶対迷子になっちまう。
キョロキョロ周りを探索してたらルキーノが戻ってきた。
「お待たせ。結構人で混んでた」
「ん、さーんきゅ。あんたも買ったの?」
「ああ、暑いしな。それよりジャン、向こう行かないか?花火がよく見えるらしいぞ」
「お、マジ?行く行く!」
俺はかき氷をガバ食いしながら、ルキーノに誘導されれ土手の方へと歩きながら向かう。いつの間にかもう花火は始まっていたらしい。ちっちゃいのや変な形のが次々と上がってる。御輿やらの騒音で聞こえなかったのか。ここもやっぱり人であふれてる。それにしてもカップル多いな………。
「カップル多いな………とか思ってるだろお前」
「なっ、なんでわかんだよ!」
「まぁなんとなく。恋人のお前が思うことだからな。何かと検討つく時だってあるさ」
「なっ、んだよそれ。バーカ」
まぁ、ルキーノの言う通り俺たちも恋人同士だけど。これでも付き合い始めて結構経つ。こうやって2人で遠くに出かけたことも何度もある。いつ何時も離れることが出来ない、どこぞの乙女が思うみたいにこいつを独占したいと思うのも生涯でこいつたった一人だけだ。
「あ、でかいの上がった。すっげー」
「…ジャン」
「ん?なに、…んっ…」
いきなり目の前がふっと赤毛の影が覆った。しばらくしてから気付いた、キスされてるんだと。
軽く唇が触れただけでそう深くはないないのだが問題は場所が場所で公然だってことで。
「はは、冷たいな」
「ちょ、バカ!人いるっての!」
「みんな上しか見てないよ」
「…っん」
ちよ、周りに花火の観衆がうじゃうじゃいるってのにそんなのお構い無しかよ。まったく………このエロライオンは。あーでも冷たくて気持ちいいかも。って言っても2人の熱ですぐ熱くなる。なんか溶かされる感じで溺れそう。
ああもう、どうにでもなれファンクーロ。
今度はディープなルキーノのキスに溺れていたそのとき………
―――ドーーン、
と心臓が跳ねるくらいのでっかい音が鳴った。びっくりしてお互い口を離して空を見ると。
「うお、おおおぉぉ」
「エクセレンテ」
ちょうど花火がクライマックスだったらしい、一発どでかいのが上がっていた。それも連続。
俺らはキスすんのを忘れて夜に咲く花をずっと見惚れていた。
「さすが、ジャポンの花火は最高だな」
「……日本に住もうかな俺」
「バカ言え、CR:5のカポであるお前がいなくてどうする」
「冗談だって。……お前と来れてよかったってこーと」
「ああ、俺もさ」
花火の明かりでさっきよりもルキーノの顔がはっきり見えた。優しい表情で、笑ってくれていた。俺も釣られて笑う。
こういう何気ないことでも俺は嬉しくてたまらない。幸せな気持ちになるんだ。
俺たちは夜に咲く花をバックにし、もう一度キスを交わした。
今度は背伸びして…自分から。