書
□瞳に映る紫水晶
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ぱっ、と目が合うと逸らされてしまう双眼。
その綺麗な瞳は綺麗な綺麗な紫の水晶で・・・。
瞳に映る紫水晶
「ヒスイ!」
「・・・何だよ。」
「どうして、目逸らすのさ!」
シングはヒスイの腕を掴み言った。
彼は先程、自分と目が合ったのに背けるヒスイが気になったのだ。
ヒスイはどう答えるべきか、当たりに視線を泳がす。
シングは、また俺の方見ないっ!とヒスイの腕を振った。
ブンブンと上下に動かされる腕、ヒスイはため息をつく。
「別に、お前と見つめ合ったってキモいだけだろうが。」
「俺はー!」
ヒスイと見つめ合いたいの!とヒスイの瞳を見詰める。
素直なシングの言葉に、向けられた幼い双眼に、ヒスイは小さく唸った。
そして、泳がせていた目をシングに向けると、彼はニッと笑う。
「やっと見てくれたっ!」
無邪気なその姿にヒスイはもう一度、深いため息を漏らした。
(紫水晶に映って居たいのです!)
END