novel

□魔法みたいな愛
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「ありがとうございます!ありがとうございます!!」


立ち寄った村でいつもと同じように困っている人の為に力を使うルキア。
こうやって感謝されるのは何度目だろう。

照れくさそうに、それでも嬉しそうに笑うルキアの姿にまで嬉しくなる。

…私は何もしてないけど…。



「ニィナちゃん!」


「えっ…わっっ!!!」


いきなり目の前に現れたルキアに驚いて倒れそうになる。


「ニィナちゃん!ごめん 大丈夫?」


「う うん…平気」


倒れそうになったけど ルキアが支えてくれたから。



「あのね、今日はここに泊まろっか」


「え?」


「ほら、ほとんど野宿だし…今日くらいね?」



ルキアはにっこりと笑って言った。

別にお金が無いわけじゃないから泊まるのは構わない。

ただ宿に泊まるより野宿の確率の方が断然多かったから…久しぶりだ。




「うん、分かった」


「ホント!…良かった!

行こう ニィナちゃん」



ルキアに腕を引かれて走り出す。



あんなに力を使ったのに、…大丈夫かな。

















「あの…ルキア…」


「ん?…なぁに?」



宿はとれた。

さして混んでもいなかったからすんなりと決まった。

…混んではいなかった…はずなのに。



「な…なんで一部屋しかとらなかったのか聞いてもいい?」

「…二部屋の方が良かった?」


途端にしゅんとなるルキアに慌てて首を横に降る。



「良かった」


…一瞬で笑顔になるルキア。

…はめられた…?


「…本当はふたつとろうかと思ったんだけど…今日はみんなに囲まれてなかなか君の方にいけなかったから」


「しょうがないよ

今日は忙しかったから…」



とはいえ、寂しいなんて思ってしまったのは不覚にも事実で。


…月日が経つ内にルキアはどんどん男の人になっていく。

背が伸びて、手や肩幅が大きくなって…まだ幼い顔は時折大人びて見える。



助けられた人の中には女の人もいて、ルキアが「大丈夫だよ」って言ったとき赤くなっていたことを思い出すと…なかなか辛いものがある。




 
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