novel

□合図
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「う〜…」


「ほら…そこの計算、間違ってますよ」


「あっ!……う〜…」



ぐるぐると頭が沸騰しそう。

せっかく学生じゃなくなったのに普通の学生だった頃より勉強してる私…。


「落ちつきなさい…教える相手が気を乱してはどうしようもありません」


「だって…」


「言い訳は無用ですよ」

「はぁい…」


う…厳しい…。

ラクロって…眼鏡を上げる仕草とか、見かけも頭良さそうなんだよね。



「もうギブアップですか?」


「…!」



顎を掴まれて上げられた。

顔…近い近い近い。



「…ラ…ラクロ…あ…の」

「なんですか?」


わざとだ。

…わざとやってる。



唇が…近い。

くっつきそうなのに、ギリギリのところで留められてる。



「ラクロって意地悪…だよ…」

「意地悪?

人聞きが悪いですね…私はいつもあなたには優しくしているはずですが…」


「だっ…て…」



赤くなる。

顔が熱くなる。


絶対…分かっていてやっているんだから。



「休憩…しましょうか…?」






幸せなキスまでの時間。



きっと、それ合図。






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