novel

□ずっと続く、永遠に
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「ん…ディセ!待って…ここ、廊下…」


「誰も来ないだろう」


今日も今日とてやることはなく、ディセの邪魔をすることになるから会いに行くのも躊躇われ、仕方なく庭を散歩しようと部屋から出たことまではいいものを。

角を曲がった瞬間、腕を引かれて捕まる。



…もちろん、ディセに。



驚く私に戸惑いなく口づけてくるディセに私は慌てた。

ここは普通に廊下だ。



と言っても、ディセと私の部屋から近いものだから 人通りもすくないけど、でも来ないわけじゃない。

お掃除にくる人たちだって当たり前に存在するのだ。



「ディセ…ん!」


赤くなりながらも抵抗してみるが見事にそれは失敗に終わった。

私の抵抗なんか無視するようにするりと入り込んできたディセは 既に私に口づけていて…そうなれば私の考えは全てとろけてしまう。



「………」


頭が真っ白になるような感覚が余韻として残る。

とろんとした私にディセは満足そうに笑みを深める。



「…お前に会うために少しばかり抜けてきただけだったが…考えが変わった

今日はもう終わりだ」



…本当…キースに申し訳がたたない。

気まぐれなディセを笑い飛ばして付き合っているんだから。


ディセがこうしてたびたび仕事を放り出すのは珍しいことではないけれど。

…でもここに来たということは 一応、一段落したってことかな…。




「…いいの?」


「俺が決めたのだから良いに決まっているだろう」


そんなこと言って…どうせ後でキースからお小言とからかいが待ってる。


それでも私に会いにきてくれたってことが嬉しくて…許してしまう私も私。



「あのね…ディセ」


…相変わらず私は壁に押し付けられたままだけど。


「なんだ」



王様なんだから仕事しなくちゃ!


とか。



またキースにからかわれるよ!


とか。


たくさんたくさん言いたいことを飲み込んで、一番伝えたいことだけ。







「大好き」





会いに来てくれて ホントはすごく嬉しい。

キスだって…恥ずかしいけどやっぱりディセだから嬉しい。


それから…私の傍にいてくれてありがとう。



色んなこと言いたいけど、でも上手く言えるか分かんないから…だからひとつだけ。




「ディセが…好きだよ」






 
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