壱之庭

□氷血
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 時々、ぼくのこの身体には紅い血なんて流れていないんじゃないかと考える事もある。

 実際殴られて滲んだのも、斬り付けられて流したのも紅い血だったけど。

 冷たい、氷のようなぼく。

 ならばそれにふさわしい、氷のように冷たい血が流れればいい。

 ぼくの全てを凍らせる、氷の血───何も感じないぼくの心を、永遠に凍らせばいい。



 氷の心を、永遠に。



 

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