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□変な夢を見たの
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「お金持ちのお家に生まれたかった」
そいつは静かに呟いた
「そうすれば新しいお洋服たくさん買えるし美味しいご飯たくさん食べれるしいつも温かい部屋に居れる」
「どうだかなあ」
「どうして?」
「金持ちも楽じゃねえぞ」
そいつはうーんと唸ってまた喋りだした
「それでも、こんな生活よりマシだよ。お金持ちのお家なら捨てられる事ないもんね」
こんな薄汚い路上生活はもう懲り懲りだよ
「お兄さん、私まだ、死なないの?」
薄汚い路上の地面を真っ赤な血で染めるそいつは自分の死を待っている
「今度生まれ変わるならお金持ちのお家も良いけど、出来るならもう生まれたくないよ」
「そうだなあ」
「…お兄さん、ありがとう、」
そいつは静かに目を閉じた
(お前にとって生きているより幸せな事は死ぬことだったのか?)
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