†Novel†
□叶わぬ恋
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「ふぅ………」
シーンと静まり返った森の奥深く、
綺人は火をおこし、その横で暖をとっていた。
―パキッ―
「ピクッ…誰だ!」
人の気配を感じ素早く銃を構える綺人。
「ぅ、撃たないで」
木の影から現れたのは、真っ黒な髪に真っ黒な服を纏った目の真っ赤な人間だった。
「……すまない…」
銃をゆっくりと下ろすと綺人。
「ぃ、いえ」
おどおどと答える人間。
「それより何故ここにいるんだ…?こんな時間に…」
「ぁ、ぇっと…道に迷ってしまって……歩いていたら…明かりが見えて…」
(悪魔か、天使…か?)
綺人はこの人物を疑っていた、この時代に紅い目を持つ人間はいない。
(はたまた死神…か…)
「ぁの…僕、クレム・リ・オードと言います…貴方は?」
「嗚呼、僕は綺人。………クレム・リ・オード、夜の森は危険だ、明るくなるまで僕と一緒にここにいないか?」
「ぃいのですか?綺人さん。」
「あぁ。綺人でぃい。」
「有り難うございます…クレムって呼んで下さい。」
「わかった」
それから二人は綺人が眠りにつくまで、色々話した。綺人の恋人のこと。クレムの家族のこと…