企画小説

□Everlasting
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その日、暗殺部隊ヴァリアーは任務に出ていた。
内容は暗殺、ではなく敵対する組織の壊滅。危険の芽は早めに摘むことが肝心。
ボンゴレの秩序を乱す者を排除することがその日の仕事だった。
粗方潰し終えたが、敵は最後のあがきとばかりに抵抗をして激しい銃撃戦となった。
だが、常は闇に生き暗殺を生業にし戦闘に身を置く者と、弱者を利用し踏みにじり甘い汁を啜っていた者。元から優劣は決している。
ヴァリアーは優位にことを運び、後は敵のボスとその周りを片付けるだけまでに追い詰めていた。
全て順調に進んでいた、はずだった。
XANXUSの視界に小さな生き物が入るまでは。
崩れた瓦礫の傍ら、散弾が雨のように飛び交う中で、小さな猫が怯え震えるように隠れていた。
XANXUSはとっさに飛び出してしまう。
XANXUSの腕の中に収まる仔猫。激しい銃声にびくびくと小さく震えていた。
XANXUSは仔猫の無事な様子に安堵し一息吐くが、すぐ近くを銃弾が掠めていきハッと意識を戻す。
突然のヴァリアーボスの無防備な出現。それは格好の標的だった。
銃撃に身構えたXANXUSの視界に銀と赤の線が走る。
「う゛お゛ぉい!この、クソボスっ!何してんだぁ!!」
XANXUSを庇うように銃弾との間に身を躍らせたスクアーロは元から大きい声を更に張り上げて怒鳴った。
「ッ!カス…血が…」
「構うなぁ!!」
「たが…!」
XANXUSを庇うため代わりに撃たれたスクアーロの右腕からは血がぼたぼたと垂れていた。
自分の失態のせいで怪我をしたスクアーロにXANXUSが戸惑った声を溢す。
それにスクアーロは再び怒鳴るような大声で返した。
「う゛お゛ぉい!構うなっつってんだろうがぁ!!今はそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ。左手さえ使えりゃ問題ねぇ!さっさとこいつら殺っちまうぞぉ!!!」
そう言って銃弾の雨を避けながら、剣を翻らせて敵を斬り伏せていく。
そんなスクアーロを見て、XANXUSも腰から愛用の二丁拳銃を取り出した。
両手に憤怒の炎を燈らせ愛銃に充たす。
そしてスクアーロに庇われ更に怪我までさせた自らへの苛立ちをぶつけるように引金を弾いた。


任務はヴァリアーの圧倒的勝利で終わった。



ヴァリアーの屋敷に戻りルッスーリアに包帯を巻いて貰い怪我の治療を終えて自室で休んでいたスクアーロの部屋に小さなノックの音が聞こえた。
スクアーロの自室を訪ねて来る者でノックをする者は少ない。大抵の場合はノックも無しに突然開けられることが殆んどなのだ。
誰だ?と思ったスクアーロは浮かんだ疑問のままに声に出した。
「誰だぁ?鍵かかってねぇから入って来ていいぞぉ」
スクアーロがそう言うと控え目に扉が開けられた。
しかし中々入って来ようとしない。
スクアーロがもう一度声をかけようとした時、黒い髪が見えた。
俯いて顔は確認できないがスクアーロが間違えるはずは無かった。
そろそろと入って来るのは愛しい主XANXUSだった。
いつもと全く態度の違うXANXUSに不思議に思うも、XANXUSが見舞いに来てくれたのではと思ったスクアーロは嬉しくなって顔を綻ばせる。
「どうしたんだぁ?XANXUS!さっさと入って来いよ!!」
スクアーロが声を弾ませて言うとようやくXANXUSが体を全て部屋に入れた。
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