企画小説

□グローリーデイズ
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出会った時から騒がしい少女、彼女が言うには剣士なのだそうだが、スクアーロは今日も騒がしい。


スクアーロはXANXUSを主に定めたと勝手に宣言してきた。
それはまだいい。しかし何をトチ狂ったか知らないが、スクアーロは同じ女であるというのに惚れただの愛してるだの一生傍にいるだの運命の相手だのと熱の籠った大声で喚いてきた。
そのスクアーロの熱烈な求愛にXANXUSは頭が痛くなる思いだ。
けれども頭が痛く感じてとても迷惑だと思うが、XANXUSはスクアーロを拒むことは無かった。
自分でも不思議だが、出会って1ヶ月も経っていないこの喧しい少女にほんの少しだが気を許してしまっていることにXANXUSは更に頭痛を感じるのだった。



今日もまたスクアーロはXANXUSの部屋に朝っぱらから忍び込んで来ていた。
人の気配がすることに目を覚ましたXANXUSが目を開けると、スクアーロが覗き込んでいたのだ。
寝起きにスクアーロの少し頬を染めてにやけた顔を至近距離で見てしまったXANXUSの機嫌は一気に急降下した。
「あ、目ぇ覚めた?おはようさん。しっかし、ホントXANXUSの寝顔、可愛いなぁ!」
にやにやしながら呟いているスクアーロを一発殴ってやりたい。
「やっぱお姫様には目覚めのちゅうがいるよなぁ!」
ふざけたことを吐かして顔を近付けてくるスクアーロにXANXUSは拳を叩き付けてやった。
無言即実行。頭のおかしいスクアーロにはこのくらいの扱いでちょうど良いと思うXANXUSだ。
しかしいつもならどんなに殴る蹴るグラスを投げ付けるなどしてもけろりとして文句を倦し立ててくるスクアーロだったが、今日はどうやら様子が違った。
「ぃでっ」と呻いたと思ったらそのまま屈み込んでしまった。
何故か手は殴られた頬ではなくて腹を押さえている。疑問に思ったXANXUSがスクアーロを窺うと、ふと鼻に付く臭いを感じた。
「てめぇ、怪我でもしたのか?…血の臭いが、する」
XANXUSの言葉にスクアーロが腹に手をやったまま顔を上げる。その顔には困惑と少しの恐れが混じっていた。
「そうなんだぁ、XANXUS。俺きっと病気なんだぁ。血が止まんねぇ」
朝起きて腹に鈍い痛みがあって、血が出てて。シャワーで流しても流してもずっと出て。と説明したスクアーロは言いながらXANXUSに近寄るとXANXUSに抱き付いた。
「だから俺XANXUSに会いたくなったんだぁ。死ぬかもしれねぇって思ったら。俺できるならXANXUSの傍で死にてぇ」
「…ば、か。人間が、そんな簡単に死ぬかよ…。原因は…心当たりは、ねぇのかよ」
スクアーロの不安がXANXUSにも感染したのか、XANXUSもそっとスクアーロの背中に手を回して震えそうな声で聞いた。
「ねぇよ。昨日は誰とも勝負してねぇし」
今まで剣士として数多くの命の遣り取りをしてきて怪我をしたこともあるが、昨日そんなことは無かった。怪我をした覚えも無い。
原因が分からないことが一層スクアーロの不安を煽った。
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