企画小説

□イカロス
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ぽたり、ぽたりと赤が滲んで垂れる。
一つ、また一つと赤がスクアーロの口に落ちてくる。
その度に鉄臭さが舌の上に広がり、スクアーロは意図せず眉をしかめてしまう。
そんなスクアーロを上から見下ろして、XANXUSが喉の奥で笑いを漏らす。
熱に浮かされ、水の膜に沈んだ紅い瞳。
やはり赤だ。
スクアーロの背中から腰から這いずる痺れに似た感覚に、一度閉じた瞼が映すのも赤。
赤に支配される空間。


己の手首を噛み切り、傷を付けたXANXUSは、その肉厚な唇を紅をのせたように赤く染め、やはり己に傷を付けるようにスクアーロに跨り深く深く自分の体内を抉った。


「ぁ、あ、」
溜め息のような熱い吐息が漏れる。
XANXUSの腰が痙攣を起こすように動く度にぐちぐちと濡れた音が谺する。
ぐちぐちぐち、と音に追われるように熱も膨張していく。
はぁはぁとまるで獣のように荒い息遣いが絶え間なく互いの口から吐き出されていた。
思考は欲の昂ぶりに埋もれてしまう。


生産性の無い交わり。何ものをも産み出すことの無い行い。
神を冒涜する、獣の行為。


「神は俺を罰するだろうか」
罰を与えてくれるだろうか。
汚らわしい女の胎から生まれた、汚らわしい嘘で作られた自分。
この血も身体も全て。全て汚らしく呪われている。


神は俺を罰してくれるだろうか。


XANXUSは呪いのように願いのように呟く。
歪な、それ故に綺麗な笑みを浮かべて。
まるで触れればすぐに壊れてしまいそうな繊細なビスク・ドールに似た綺麗な笑み。
そして赤い官能的な唇を開く。
「俺は、汚れている。お前は、…?俺を救う気なのか。救える、と思っているのか。それとも、俺と、共に堕ちる、つもりか。堕ちて、汚れて。それでどうしたいんだ」
硝子に生じた罅割れのような綺麗に歪んだ笑みの中でXANXUSの言葉が響く。
スクアーロはXANXUSの笑みに声を失った。
全ての言葉は虚しく、届くことは無いのだろう。
スクアーロはただひたすら深紅を見つめ、精一杯の愛しさを込めてXANXUSを抱き締めることしかできなかった。
口の中に落とされた鉄の臭いに、XANXUSの味に、苦くて甘くて苦しい思いをスクアーロは感じて瞼を閉じる。



見えたのはやはり、赤に塗り潰された世界だった。





〈後書き。という名の言い訳〉
淳様すみませんっ!病んでますかね??
病んでると言うと自傷ぐらいしか思い付かない貧弱な頭ですよー(笑)
裏が良いと言って貰ったのに余り裏っぽく無いですし…(汗)
とても意味不明なものになってすみませんでした!
苦情はいつでも受け付けてますので〜!
淳様本当にリクありがとうございました!!
 

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