企画小説

□La Dolce Vita
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暖かな朝の光に目覚めたスクアーロが共に一晩過した愛しい人に手をのばすと、ふさりとした感触に阻まれる。
何だぁ?と思い目を開けると視界一杯に白が広がった。
スクアーロとXANXUSの間にベスターが横たわっていたのだ。
大型の獣の形をしたベスターが乗っても少しも窮屈さを感じさせない豪奢なXANXUSのベッドだったが、自分とXANXUSの間を隔てるようにしているベスターの姿に眉を少し寄せ苦笑を溢す。
「また出しちまったのかぁ」
XANXUSはほとんど毎日朝目が覚めるとすぐに枕元の近くに置いてある匣に炎を注入してベスターを呼び出す。そうして呼び出したベスターの豊かな毛並に埋もれて二度寝を楽しむのだ。
それはもうどうやら一種の癖みたいになっているようでXANXUSは無意識に行っているようだった。
スクアーロと共寝をした日も例外は無いらしい。
苦笑してスクアーロがベスターに触れたままだった手で優しく撫でると、グルル、とベスターが気持ち良さげに喉を鳴らした。
その様子は形ばかり大きいが仔猫のようで可愛らしく、また手に触れる毛並が心地好く感じられたスクアーロはより一層優しく撫でてやる。
スクアーロがすり、と身を擦り寄せてくるベスターを無心で撫でてやっていると、視線を感じた。
気持ち良さに目を細めて毛並を寄せる獣の物では無い深紅がスクアーロの銀眼と絡まる。
スクアーロとベスターの主であるXANXUSの宝石のような瞳がひた、とスクアーロを見つめていた。
「お目覚めかぁ、XANXUS」
スクアーロが笑んで言うが、XANXUSは未だに夢と現の境にいるらしい。
返事を返すことなく、ベスターの上に置かれたスクアーロの手をぼうっと見ていた。
XANXUSは一度緩慢に瞬きをすると、スクアーロの手を握る。
驚いたスクアーロは何事かと思ったが、声には出さずXANXUSの行動を待った。
スクアーロの手を握ったXANXUSはそのままその手を上に持ち上げベスターから離すと、できた隙間に自分の頭を滑り込ませベスターの毛並に顔を埋めた。そしてスクアーロの手を下ろす。
まるで俺の頭を撫でろ。と言わんばかりだった。
笑みを深めてスクアーロはXANXUSの頭を撫でてやる。
「なんだぁ、嫉妬かぁ?」
「違う」
スクアーロが聞くのに否定を返すも、XANXUSはスクアーロの手を払おうとはしない。
むしろ気持ち良さげに再び目を閉じて甘受する。
そしてXANXUSはベスターに両腕を回し緩く抱き締めて、ベスターをベッド代わりに寝心地の良い姿勢を探した。
「起きねぇのかぁ」
「起き、ない」
スクアーロがXANXUSの髪をさらりと指で梳いて囁くとXANXUSはゆるゆる眠りに落ちる寸前の声で返す。
一つ深い息を吐いて、本格的に眠る体勢だ。
「そうかぁ」
スクアーロもXANXUSの眠気に釣られたのかふぁ、と欠伸を漏らしながら手はXANXUSの頭を撫でたまま、自分もベスターの毛並に頭を寄せた。


そうして暖かい光の中で二人と一匹は仲良く心地好い微睡に身を委ねたのだった。





<後書き。という名の言い訳>
たいら様、すみませんっ!
戯れてるのは何か鮫だけですね…。ザン様ほとんど寝てる(笑)てか、戯れてるとは言えない感じデスね(汗)
ホントすみません。苦情はいつでも受け付けてますので〜。
この度はリクありがとうございました!!

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