Pandora Hearts
□愚者再起
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目の前が紅いのは…
己の血のせいか
掌が紅いのは…
己の血のせいか
君が紅いのは…
―――――ガバッ!!!
「…ぁ……」
魘されるなど幾年ぶりかと滑稽な男は脂汗を袖口で拭った。
醒めたのかと安心するような夢であった。
――ただ、紅い…
そんな夢だった。沈んだモノが誰なのかもわからなかった…
「夢なんて…くだらないモノ見てしまいましたネ」
ブレイクはいつもの通りに人を小馬鹿にしたような口調で呟いた。
「さて…」
ブレイクは立ち上がるとある青年のもとへと向かった。
――――某邸
「ぉや、何処にいるのでショウカ…」
人混み…まぁパーティーなのだからしょうがないが、そのせいでブレイクは青年を見つけ出せずにいた。今晩はなんとか卿のなんとかとか言う宝石の発表会のためのパーティーらしいが全く興味がない。『ですがナイトレイ家長男として呼ばれたからには彼も来るしかありませんネ。』そう思うと微笑を1つこぼした。
シャンデリアを見上げる。
『眩し…』
目を細めると、笑みが込み上げてきた。
なんて愚か…
なんて愚直…
所詮着飾る愚者なのだ…人間など…まるで人形。
「何気持ち悪い顔してるんだ。」
「あれれ」
「まあいつもそんな顔をしてるが」と付け加えられブレイクは笑った。
「しばきますヨ?ギルバート君。」
「…で?」
「…で?…って何デスカ?」
「なんで此処にいる?」
「ソレはギルバート君に会いたかったからに決まってるでショ?」
ヘラヘラと笑いながら両手を広げて回るブレイクを見てギルバートは溜息をつき呆れ顔で煙草に火をつけた。
二人はベランダに出ていた。晩秋の風は冷たい。煙草の煙も流されていく。外を眺めるギルバートの横顔をじっと見つめる。
…そぅ…なんて愚か…
…世界もそして…ワタシも…何テ…
…オロカ…