デュラララ!!
□嫌い≒???
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「…はは」
わかったことが一つだけある
人はあまりに驚くと
笑う
「あはははは、はは、ぁはは…んなわけないじゃん。はは、遂に頭変になったの?馬鹿力な細胞が脳にまで回った?だからバカなんだね、単細胞。なんで俺がシズちゃんのことなんか好きにならないといけないの…、っ!?」
才能とも呼べるスピードで回る舌を、今度はシズちゃんに吸われる。
黙れ、バカと無言の圧力。
でもすぐに唇は離れて、眼でおったそれの行き先は俺の目尻。
「…そんな顔、するな」
「どんな顔だよ…大体「泣くな…俺が困る」
は?と思わず聞き返してしまう。
俺は、何を。
何で、何で何で?
ぼたぼたと自覚をした途端に冷たいものが頬に伝う。
シズちゃん、シズちゃん
「…シズちゃん、シズちゃん、シズ、ちゃん」
シズちゃんの俺より大きな武骨な手が服の下に潜り込んでくる。
涙で霞んでシズちゃんの顔が見えない。
服を捲り上げられて、胸の突起を弄ばれる。
「ぁ、ん、はあ」
鼻を通り抜けたこの声は俺の物なんかじゃない。
甘い声にシズちゃんは厭らしく笑った。
「いい加減認めたか?」
「あっん、っ、ない、ばかぁ」
俺が、シズちゃんのこと、好き?
そんなのとんだ自惚れ。
俺はあんたが嫌いなだけ。
認めるもなにもそんな気持ちなんてない。
好きだったら何だってんだ。
俺をバカにするのか?
シズちゃんは俺のこと嫌いなくせに。
卑怯だ。卑怯だ、シズちゃんは。
「ぁ、っし、死んじゃえ、っんん、ばかっ、ばか、単細胞っ」
「うっせえっつってんだ!!塞ぐぞ!!」
「ん、勝手に塞げば?うるさいのは、そっちだろ!!」
「…絶対ぇ泣かす」
もう泣いてんのにバカじゃないのかなと、思ったが言わずに
否、言えなかったのはシズちゃんの暴力的な愛撫のせい。
捲られて露になった肌に這う指に跳ねる体は嘘を吐けなくて、がくがくと膝が笑う。
倒れたいのにシズちゃんがそれを許さない。
「あ、あっ、あ…シズ、ちゃん、シズちゃん、シズちゃん、んっ、あっ」
ぬるりと生温い感触が胸を舐めあげる。
シズちゃんの舌だと言うことくらいわかっているけど、現実味を帯びない快楽に、バカみたいにシズちゃんの頭を抱く。
バカみたいに名前を呼ぶ。
ちゅぷ、と高い音がして、自分も驚くくらい甲高い声を上げて、シズちゃんが顔を上げた。
コンクリートに熱を奪われて背中が冷たい。
ずり、と身体が下がると、シズちゃんにまた腰を抱かれて持ち上げられる。
その行為のせいで熱をもった自身がジーパンごしにシズちゃんの身体に擦れて、吐き捨てるように喘いだ。
「ぅ、ああっあ…、シズ、ちゃん、シズちゃ…、シズちゃんっシズちゃん、んっんん、」
「あんまり呼ぶな。気持ち悪ぃ」
「だっ…て、…、ん」
顔からほんの数センチの距離で呟かれる。
でもシズちゃんの目は、いつもみたいに嫌悪を含んでいるわけではなかった。
吐息がぐちゃぐちゃに混ざる。
シズちゃんの顔が近くなって、わからないまま、どちらともなくキスをした。
押しあてるだけの軽いそれ。
離れてはまたすぐに口付ける。
触れ合っては離れる。
シズちゃんの匂いがする。
大嫌いなシズちゃんの匂いがする。
「名前を、ん…呼んで」
「名前?」
「ん…」
尋ねる声は優しい。
優しさだけなら、いらないよ。
あんたの欲求不満解消のための道具に過ぎない今の俺に、何故優しくするの?