Pandora Hearts

□夢中愛楽
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ぐちぐちと後孔が慣らされていく。
体の奥からぐにゃりとなにかが込み上げてくるけど、それは決して気持ち悪いものではなくて。


なにかは、酷く妖艶な色の、ぐちゃぐちゃした感覚。


わからないけど、これが快楽という形?



だが、快楽とはまた、少し違う。



なんだろう。


切なくて、張り裂けそうだよ。



油断していたら、唇が離れて質量と熱に犯される。
痛い、けど、あの感覚がこれは気持ちいいものだと笑う。



そうなのか、


きっと、そういうものなのか





「あ、あっんん、はあっあ、んんっん」


「…ジャック」



がんがんと突き上げられる感覚に壊れてしまうんじゃないかと眼を綴じた。
痛いけど、いつの間にか離された両腕は、いつの間にかグレンの肩を掴んでいて、強く強く求めていた。


「ん、ああっ、は、あん」


薄目をあければ景色がぐらぐら揺れる。
ポタポタと胸に垂れてくる汗が冷たい。



大好きだ



大好きだ、



こんなにも、



大好きなんだ



伝えたいのに声にならない。
ただ肩を掴んだ手の力がぎゅ、と強まるだけ。


愛しくて、仕方ないんだ。


これで最後だと言わんばかりに突き上げられて、自分も絶頂に引き上げられていく。


「あ、あっぐ、ぐれ…ん…っと、はあっあっああ」


「…、ん?」


「ぁ、んっも、もっと、」


もっと奥まで、もっと、もっと深く、一つになろうと。


理解したのか、グレンはふ、と笑った。


「う、あ、ああっ、んああっ」


「………っ、ん」


ぐんと奥の奥まで突き上げられて、



真っ白に果てた。




































「……ぁ…」


はたと眼をさまし飛び起きる。
ずきりという腰の痛みに再び、ゆっくり横になる。



グレンはどこ?と横を見るとスースーと寝息が聞こえた。



「…寝ているのか…」


そういえばグレンのこんな幼い寝顔は初めて見る。

疲れたのだろう。
自分も凄まじく体がだるい。


カーテンの隙間からさっと差し込んでくる朝日が、ベッドを白く染め上げている。


その白がグレンの黒髪と相対して、なんだか芸術のような気がした。



そっとそんな髪に触れる。

さらりと指の間を滑り落ち、その感触が気持ちいいなと思う。


ふと、自分の体を見ると、グレンがわざわざ拭いてくれたのか、昨夜の痕跡は全くない。
ただ、グレンに残された赤い鬱血だけ。


下半身に申し訳なさ程度に絡んでいるシーツに、彼の不器用さがうかがえて、一人くすくすと笑った。





「…ん…、ジャック…?」


「おはよう、グレン」



にこりと笑いかけると、眠そうにとろんと眼を向けてくる。
ああ、と短く返答して、グレンはまた眼を綴じた。


「また寝てしまうのかい?」


「…いや…起きるが…」


「起きるが?」



眼をあけ、グレンは妖艶ににやりと笑う。
その笑顔にひ、と息をのむと、そっと頬に触れられた。


「お前からキスしてくれるか?」


「え、わ、私から?」


「ああ、お前は服を取りに行かないとまずいだろう?」



そういえばグレンはちゃっかり服を着ていた。

有無を言わさぬ空気にかあっと顔が熱くなる。


「早く」


「ぅ〜…」


痛む腰を庇いながら、グレンの上にうつ伏せになり、軽く口づけた。


「………服取りに行ってくれよ〜…」


「…仕方ないな」


ぽんと頭を撫でられる。
自分が上にのっているのに軽々と起き上がり、ベッドをおりる。


「疲れただろう?寝ていろ」


「うん、ありがとう」


ふ、と笑うとグレンは部屋を出ていく。
ベッドに沈む体。
ずっしりと重い。


グレンの匂いがすると、ベッドに顔を埋める。


こんな匂いに包まれて、


どんな夢を見るのだろう


願わくば夢の中でも彼に会えるようにと、


懸命にグレンを思いながら、静かに眠りに落ちていった。







end…





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