Pandora Hearts

□夢中愛楽
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首筋に舌が這う。


熱い息が体をなぜるようで、それすら感じている自分の体が恥ずかしくて誤魔化すように身を捩った。


ちゅ、と吸われ、痕を残される。
痛いよと苦笑すれば、なら優しくしてやろうと触れるか触れないかの距離で愛撫をされる。


「んん、…焦らさないで、くれよ」


「そうか…そういえばお前は激しいのが好きなんだったな」



う…と口ごもれば、図星かと胸の突起を弄られる。
さっきもされたはずなのに、慣れない快楽。


見つめられると、


見つめていると、


触れられると、


触れていると、


熱い体の深層がずくんと疼く。
まるで、媚薬のような男だと、込み上げるなにかに例えを付けた。



「ふ、ぅ…ん、ん…」


弄ばれている気がする。
それ以上はいつまでも進んでくれなくて、もっと直接的な刺激が欲しくて、


そんなときに目があえば意地悪く笑ってくる。
苛められているなと眉間に皺を寄せれば、あいているほうの手の指で、くに、と眉間をおされる。

その行動に仕方ないなと耐えかねて、口を開く。


「ん…、グレン…」


「…なんだ?」


「早く、もっとしてくれよ…、もどかしい…」


満足気に微笑され、好きだと囁かれる。



ああ、もう



心が不貞腐れる。
だからこんなのは狡いと言っただろうと呟いてみても、聞いているのかいないのか。
軽く口付けられて、指で弄ばれていた胸の突起を口に含まれる。


「ん、んんっ…は、ぁ」

舌で転がされ、唇で食まれ、どこか優しくて、でも、どこか激情を隠しているような不思議な愛撫に目が眩む。

グレン自身の心情を肌で感じている気がして、少し嬉しかったりもする。


「ん、ぁ、あっぐ、れん、んんっ」


「私が脱がないと脱がないのだろう…?」


まだ身に纏っていたグレンのだぼついた黒いズボンの上から自身を触れられ、腰が跳ねる。


脱がないと…?


ああ、さっきグレンが脱がないと脱がないと言ったのを苛めのネタにされているのかと快楽に痺れる頭がぼやく。


胸の愛撫は相変わらずで、
その上ズボンの上からの霞んだ感覚に勝手に腰が揺れる。

お願いだから、もっとちゃんとと叫んだなら、すぐに終わるだろうに、厄介な理性はまだわずかに残っていた。



「ん、んんっや、ぁ、あっん」


「どうした?ジャック。苦しそうだな」



白々しく聞いてくるグレンに文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、こぼれる声は官能的な声ばかり。


ぼろぼろと涙が零れる。流石にもう嫌だ。
嫌ではないが苦しい。


しゃくりあげて子供のように泣くエメラルドグリーンから大粒の涙が落ちていく。

何か察したのかグレンは扱くのを止め、涙を拭ってくれた。


「…ひく、…ふ、ぇ…」


「泣くな、悪かった」



頭をぽふっと撫でられると、妙に不器用な彼の愛情が感じられた気がして、片目を擦り涙を自分でも拭いた。


「何か言いたかったのだろう?」


「グレン…もう、いれてくれ…」


我慢できないとグレンの腰に触れ、すがり付くように背中を抱いた。

くん、とグレンの体が引かれ、肌が密着する。



顔が近い。
吐息が混ざりあうような距離。
そんな距離を感じると、キスがしたいと体が疼く。


どうしようもない淫乱になったものだ、自分も



せがむように頭を持ち上げかければ、深い口付けにベッドに押し返された。







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