Pandora Hearts

□狂愛故縛
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舌が絡み合う。ギルバートは乱れきった躯を揺らし、喘ぐ。


「あんっんん、くち、して、んあっはやくう…」

「わかったよ、ギル」


ヴィンセントは口付けをやめ、屈み、また熱と質量を持つそれをくわえた。じゅぱじゅぱと部屋に水音が響き、耳からも強い快楽を感じる。
ギルバートの腕の鎖が大きく音をたてた。


「はああんっ、や、ああんっ、うぅんっ、ひぁあっ」


「ふふ、イイ?」



「あああっいいっいい、だめ、あんっ…ぃん、せ…と、」


喋らないでと辛うじて言って、ギルバートは喘ぎ続ける。あんなに拒絶していたのが嘘のように、乱れ、堕ちる。


ヴィンセントは一度口をはなし、ギルバートの額に口付け、自分のそれを取りだし、後孔に宛がう。
ぐっと躯ごと一気に押し込むと、その衝撃でギルバートは今日二度目の絶頂を迎える。


「ああっふ、ん、まっ…て動くなぁ、まだ、痛…」


「だめだよ、僕が我慢できないから」



ヴィンセントはズンズンとギルバートを突き上げる。直後の苦痛と確かに感じる快楽がお互いに強く主張しあう。
ああもう何でもいいと、ギルバートはヴィンセントに爪をたてる。文句も言わずに、弟は兄に口付けた。


「はあっ…は…あ…ギル…」


「ふあ、あっあん、ひぁあっ」


「あーもー」と言う嘆きが小さく喘ぎ声に絡んだ。
可愛すぎて、だめだと笑う。

昔から、自分の傍にいてほしかった。自分のことだけみて、自分のことだけ愛して、自分にだけ笑ってくれると思っていたのに、ギルバートは自分の知らない世界で、自分が知らない人の傍にいて、自分が知らない人を愛して、自分が知らない人に笑っていた。


嫌だ。嫌なの、そんなの。


ヴィンセントは性急に腰を動かす。



ギルは僕だけ見ていればいいの。僕がギルしか見ていないように。
ギル以外の人間なんてクズでばかどもで虫けらでゴミだ。死んでしまえばいい。全部死んでしまえばギルは僕のもの。

僕の、僕のギル。僕のもの。だから逃がさない。縛り付けて、一つになろう。もう立ち直れなくなって、僕の知らない世界へ行けなくなるくらいギルの心をぐちゃぐちゃにしたら、鎖を解いてあげるんだ。



ヴィンセントは何度もギルバートに口付ける。愛していると口付ける。





もはや自分が何をしているのか、わからない、わからないけれど、



目の前の愛しい人のなかが、熱いことはわかった。







「ぎ…ギル…いくよ…」


「ああ、もう、いく、んんあああ!!!」



「く…」





腹に吐き出された白いそれが、熱くて、火傷してしまうと思った。

ギルバートも、自分の中に、熱いものが吐き出されていることが理解できた。結合部から溢れる白い泡が厭らしい。


ずるりと自身を抜き、どしゃりと深く座り込むヴィンセント。ギルバートも正気を取り戻し始めたようで、酷い自己嫌悪に泣き崩れた。
泣いて、泣いて、吐いて、喚いて、大の男は一人死ぬより辛い苦痛に苛まれた。


「なんで、なんで、なんで、どうして、俺は、何なんだ!!!あんな、あんなに、ああああっ、何なんだああ!!っ…ぅぐ…ぇ、ゲホッゲホ、ぁ゙ああ…」



「ギル、落ち着いてよ。全部認めちゃえばいい。そうしたらただ気持ちいいだけ。ギルもさっき言ってたでしょ?」



ギルバートは涙と吐瀉物で汚れた顔を上げた。
金色の瞳は、酷く陰っている。





「ギルは僕のものだ」







ただ、それだけを認めさせるまでに、こんなにも、



ヴィンセントはふふふと笑った。


この男が後何日で自分のものになるのか、




彼が認めるその日まで、



この狂愛は止まらない






その日を想像しながら、まだ啜り泣いている兄の頭を抱いた。








end…




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