Pandora Hearts

□狂愛故縛
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首筋に口付けが堕ちる。ちゅっと吸われてまたうっ血箇所が増した。


ギルバートは酸欠からか、がくんとその場に膝をつく。びんっと音をたてて鎖が伸びきり、腕が痛んだのか、顔を歪めた。


「ギル、可愛い」


「んっ…ん、く…」



唇を滑らせ、胸の突起を口に含んだ。躯は跳ねたが、喘ぎ声は出ない。出るのはくぐもったうめき声。


ヴィンセントが声聞きたいよと呟くと、その唇と舌の動きに耐える声が大きくなる。



「…っ…ん…うっ…」


「声だしていいんだよ?誰も来ないし」


「くぅ…んぅ、う…」



黙って首を何度も横にふる。絶対声を出すものかとぶんぶん振ってからきっ、とヴィンセントを見た。


可愛いなあとヴィンセントは笑い、突起にカリッと歯をたてる。


「んっは、んっん」


「うん、よく我慢できたね」


歯を左右にスライドさせてみる。躯は出そうな声を抑えるのに酷く震え、ギルバートの目には涙が浮かんだ。歯で噛んだまま先を舌でつつく。
躯がまた、大きく跳ねる。だが、これも声を抑えられた。


健気に声を出すまいと必死になるギルバートが可愛すぎて、ヴィンセントの背がぞわりと震えた。嫌がっている。この泣きそうな顔が、いい。


「気持ちいい?」


ギルバートはまた首を振った。頑として認めないようだ。
楽しいなあとヴィンセントは爪で胸を弾く。もうやめてくれとギルバートが首を振り続ける。
汗がぽたりと床に落ちた。
舌で大きくベロリと舐めあげてから片手は胸を爪でチクチクと刺激し、もう片方の手は、一度指をしゃぶってから、いきなり二本揃えて、後孔に突き刺す。


「うぐ、あっああ…んんっ、いった…」


「痛かった?ごめんね。今もっとよくしてあげるよ」


ぐちゅぐちゅと指が体内を蹂躙する。血が出るほど唇を噛み締めて、まだギルバートは声を殺しているが、ヴィンセントの指は容赦なく動いた。二本がバラバラに動き、一度引いてはまた奥まで突き上げられる。どうしようもない痛みと、快楽が混ざり、ギルバートは堪えていた涙を溢した。胸の愛撫もおさまっていない。


「んっんんっ…ひぁっ」

「あはは、可愛いなあ。気持ちいい?」

指が前立腺を捉える。腰が大きく跳ねた。我慢していた喘ぎはそのせいで漏れた。


「ああんっんんっぐ、ぁ、ん、んはあっ」


「もう我慢できないねえ、ギル?ねえ気持ちいい?答えて?」


「ん、はあん、あ、き、もちっい、んあ」



ギルバートは真っ白になった頭で考え、言った。考えたというより、真実をそのまま言った。
よかったとヴィンセントは喜んで指を更に速く動かす。



「はあ、いやっんあああ!!だめ、いっあ、いく、ふあああ!!」



どくんと脈打つそれから白い欲が飛び出した。
ヴィンセントはげらげら笑って、乱れ、意識が朦朧としている兄を見た。

「兄さん、僕、まだここ触ってないよ?なのにイっちゃったの?」


淫乱だねえとケタケタ笑うヴィンセントは果てたばかりのそこを握る。ギルバートは強すぎる刺激に目をつむり、躯をよじった。
だがヴィンセントはそんなことを気にもとめず、扱き始める。快楽は一周し、苦痛に近いものとなっていた。
唇の血を舌で舐めとってやり、口付ける。ギルバートも己の方から舌を指し伸ばす。


「はっ、はっはああ…んん…やだ、ゔぃ…んす、あんっあ、つよすぎ…」


「でも、嫌そうじゃないね。気持ちいいんでしょ?」


ギルバートは舌を吸われ、唇を舐め回されて、酷く顔を紅潮させたまま呟く。


「あ、ふぅ…んんっ、き、もち…いいっ、くぅ、んん、きもち、いい、もっと、もっとして」


「ふふ、やっと僕のものになり始めたね、兄さん。凄く淫乱だね」



ギルバートの目から、涙が零れる。それが、恐怖からなのか、自負からなのか、性的なものなのかはわからなかったが、ぼろぼろと泣いていた。






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