Pandora Hearts

□夢中愛楽
1ページ/5ページ




暖かいよ…



君といると…










































どさりとベッドに倒れ込む。


高価なそれは強く体を押し返して。



生乾きの髪が首筋にまとわりつく。
こういうとき長髪は不便だ。





パタンとグレンが扉を閉める音がする。





借り物の服に身を包み、ベッドに横たわっていると押し寄せてくる睡魔。






「起きろ、ジャック」


「ん…、起きて、る…多分」



部屋は他に音はしなくて、だるい体だけが妙に感じられた。
背中側から息をつく音がして、呆れたのかと不安になる。


ベッドが揺れる。


目の前に手をつかれ、覆い被さってくるグレンを見る。



「…、ん…」



不意におちてくる口付けに少し驚いたが、身体中が痺れるような深いそれに大人しく従った。



舌が絡み合い、唾液が混ざりあう音とくぐもった荒い息が音のなかった部屋に響く。

その様子はさながら、真っ白なキャンバスに絵の具を直接ぶちまけたように強烈なもので。




こういうことされるとこの男が愛しくてたまらなくなる。
普段見せないような顔をされるとどうしようもなく体が疼く。



つまりは



「…ときめいてるのかなぁ…」


「…何か言ったか?」


「ううん、なんでもないよ」


離された唇を見つめていう。
そっと触れると濡れていて、想像以上に熱い。
彼が熱いなどあまり感じたことはないから不思議で、夢中になってグレンの唇で戯れる。



「何がしたいんだ、お前は」


「いや、ね…熱いなと」


「…誰のせいだと思っているんだ」



そっとその手をとられ、唇で指を食まれる。
舌で指を順に絡めとられ、それだけのことなのに声がもれた。
そんな様子をじっと見つめられていると羞恥から涙ぐむ。



「ん、…ん…グレン…」


「指をしゃぶられるだけで感じるのか?」



そんなことないと、うっとにらみ返す。
ただし童顔と涙目のせいで全く効果はないが。


それがよりいっそう煽ってしまったようで、グレンは手を放すとまた口付けてくる。
その顔はあの余裕のない表情を浮かべていて、ああ、限界なんだねと目を細めた。


押し当てるだけですぐに離される。


「…君もなかなか可愛いね、グレン」


「…煩い、もうするぞ」


「構わないけど、手加減してくれよ?」


腰が痛くて仕方ないんだと苦笑すると、にやりと笑われて、「寝かさぬと言わなかったか?」の一言。


確かに言ってたような気もしなくはないけどね、と思う。



自分の服だからなのかグレンは迷うことなく服を脱がしてくる。
全部脱ぐかと妖しく笑われて嫌だと大きく首を振る。


「私が脱ぐなら…グレンも脱いでくれないと………………恥ずかしい、だろ」


「…女のようだな」


「ほっといてくれよっ」


相変わらずの涙目でそう喚けば、優しく頭を撫でられて、グレンは自分の服を脱ぎ捨てた。
上裸の彼の肌は、濡れているときとはまた違う色気があって、思わず息を飲む。
それがグレンに見つかって弄られる。



「そんなに私の体が好きなのか?」


「ち、違うよっそういうことじゃなくて」


そういうことじゃなくて、と続く言葉を探してもう一度呟けば、額に口付けられた。


別に構わんさと一言かえされ、だから違うってといいかけて、まあ嫌いではないし、どちらかと言えば好きかなと思い、飲み込む。








次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ