novel
□ブレスレス2
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晴天の青空に吹き乱れる桜吹雪。
風が強すぎる点を除けばうってつけの入学式日和。
受験生はせっかくの休みだってのに俺は留年を逃れるための追試験。
こんなことならサボるのも程々にしときゃよかったな…
そんなこと考えながら、受付係をやっていた後輩のリヒティのイスに座りながらちょっかい出していると
その子が来た。
風に揺れる濃紫の髪を押さえつつ、しっかりと歩いてくるその女の子に、俺は固まった。
これまで色んな女が近寄ってきたけど…
比べものにならなかった。
そのくらい綺麗だった。
「こんにちは!君、名前…ゲフッ何すんですかロックオ」
「こんちはっ!ようこそソレスタ学園へ。」
役割をこなそうとする後輩の脇を前からは見えないように思いっきり殴り、その子と会話を試みる。
リヒティが殴られた脇を抑えながらめちゃくちゃ泣きそうだ。
悪いな、ここは譲ってくれ。
ホントは新入生に学校の地図を渡してクラスに行くように指示するだけでよかったんだけど、なんだかティエリアをもっと知りたくてクラスに案内することにしてしまった。
その子…ティエリアは外見から想像したよりもけっこうおっちょこちょいで可愛かった。
廊下を歩いてる時なんか、後ろからちょこちょこっとついてくるティエリアが可愛すぎて思わずにやにやしっぱなしだった。
会話を振ると緊張しながら子猫みたいに可愛い声で一生懸命答えてくれる。
くそードストライクだ。
無性に狙い撃ちてえ…いやいや可愛い後輩に手を出すのは大人げないよな。
というわけで今回は穏便に済ませようと…
したわけだが。
なんともハッピーなアクシデントが起こった。
階段で止まった俺の背中にティエリアの頭が飛び込んできたり
その反動で後ろにのけぞったティエリアを俺がキャッチしてあげたり。
このシチュエーションはおいしすぎる。
極めつけはティエリアの赤面。
可愛すぎる。
理性が吹っ飛びそうだったが、すれ違った新入生の保護者の目があまりにも冷たかったので一気に現実に戻ってしまった。
それからのティエリアがまたまた可愛いんだコレが。
さっきより明らかに挙動不審になってるし赤面は収まらないし。
おかげで始終にやにやしっぱなしだった俺はティエリアと別れた後も顔が緩みっぱなしだった。
ホントはクラス覗いてきたかったが、
そんなことしたら確実に変態だ。
しかも先公に追試の後の補習のサボりを発見され、仕方なくその場を去った。
ま、同じ学校なんだから会おうと思えばいつでも会えるしな。
内心うきうきしながら補習を受けにいった俺がいた。