騎士の奏でる鎮魂歌

□一章-4:邂逅
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「---ま、………---様、領主様っ!!」
ユリウスの叫びに意識が覚醒した。
「………ああ、ユリウス………ごめん。思い出しちゃって………。」
小さく笑ってユリウスを見る。
「ダメだね。…今更後悔したって、もう全部ダメになっちゃったのに………あの時、父様に従わなかったら、もしかしたら僕は、ちゃんとした騎士になってたかもしれないのに。………ねぇ、ユリウス。僕は領主にならない道も択べたと思うかい?」
困ったような、どこか泣きそうな顔で笑う。
ユリウスは俯いて、自分なりの答えを言った。
「………択べはしないでしょう。………子は、親を択べません。その時点で、…貴方に自由はない…。」
言い過ぎたかと、恐る恐るヴィッセルを見る。
彼は小さく苦笑していた。
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