騎士の奏でる鎮魂歌

□一章-2:練
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模擬試合から一週間。
相変わらず騎士見習い達は騒がしい。

ヴィッセルは試合後、皆から慕われるようになった。ラズヴェルトの方は相変わらずで、誰も近付けない雰囲気が漂っている。一人を除いて皆が近寄りたくても近寄れない。
「………お前話し掛けろよ……。」
「いや、無理。…お前行けば…?」
「む、無理だって…。」
ひそひそと話す二人をちらりと見て溜息をつく。---試合後からずっとこうなのだ。
と、見慣れた金の髪が走り寄ってくる。
「ラズィー!!おはよ!」
ヴィッセルだ。---ここまで嬉しそうにされると逆に困る。
「………ああ。………寝癖、ついてる。」
「うそ?!」
あせあせと髪を弄る。
今日は休日だけあって食堂には大勢の見習い達がいる。ヴィッセルもまだ髪を束ねず背中に垂らしていた。
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