フェブラリウス市市長室


□馬鹿そうで狡猾
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「…アレ、一緒に食べないの?」

授業が終わり、早々と教室を出ようとしたディアッカをラスティが呼び止めた。

「あそこ行ってくる。ラスティも来るか?」

「じゃあミゲルとメシ食ったら行くわ」

返事の変わりにコンビニの袋を肩に担いだディアッカは午後の授業が始まるまで“無法地帯”と化す教室を後にした。現に、ラスティの悲痛な叫びと共に没収されてしまった筈のマンガ本がもう机に上げられていた。
半日と経たないうちに担任から取り戻すラスティの手腕(?)に舌を巻きつつ、きっとまた取り上げられるのも時間の問題なんだろうなと思った。

昼休み。
生徒会の用事でイザークが抜けると、ディアッカも気まぐれに教室を後にする事が多かった。

通い慣れた廊下を横切り、教師の姿が見当たらないのをサラリと確認すると、人気の無い階段を駆け上がった。

“侵入禁止”

そう擦れた字で書かれたポスターの貼ってある古くさい扉を開けた。昔は堅固だっただろう鍵は錆び、今はドアノブさえ捻れば耳障りな音を立てて簡単に扉が開いてしまう。

誰にも邪魔されない、教室の騒がしさから解放される場所、屋上。

「あーぁ、昼だね〜」

昼休みだからこうして此処に居るわけなのだが。
開放感からか、特に意味の無い言葉を紡いでいた。校庭からどこかの部活が練習している声が微かに聞こえてくる。

教師にバレない程度の規則を破る、そんなスリルを味あわせてくれるこの場所はディアッカの密かな楽しみになっていた。

定位置である水槽タンクの下に腰を下ろすとコンビニの袋からオニギリを摘んだ。
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