フェブラリウス市市長室
□ギブ・ユア・ハート
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立ってられる事が奇跡なんじゃないか。
眠気で今にも意識が飛びそうなディアッカはキャットウォークに身を任せながら溜め息をついた。
同じシフトの兵はとっくに部屋に戻っているのに、何故こうも大幅に時間がズレ込んだのだろう。自問自答すれば、思い返されたのは異常な1日。
バレンタインデー。
戦闘時以上に自分を疲れさせ、貴重な睡眠時間をもこうして削った元凶だった。
友チョコだの部下チョコだのいいながら「隊長に渡してくれ」と云われた山積みのチョコレートをイザークの所に持っていけば突然機嫌が悪くなり、いきなり突き飛ばされた挙句怒鳴り散らされ、部屋から堪らず逃げ出す始末。
その後召集が掛けられブリーフィングルームに行っても、終了した後にはイザークの卓上に積まれる大量のチョコレート。
憤慨しながら書類ともどもチョコを机から凪ぎ払ったイザークは俺に掴みかかり「全部片付けておけ!」そう言い残しブリーフィングルームから出ていってしまった…それが数時間前に起きた出来事。
無重力の空間が災いし、あちこちに浮遊する見捨てられた哀れなチョコの回収から始まり、隊長であるイザーク自身が仕上げる筈の書類を纏め、気付けば時間はとっくに過ぎていた。