フェブラリウス市市長室
□二次災害
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空調が故障した。
問答無用で吹き付ける熱を帯びた空気は、部屋で寛いでいたディアッカの平和を見事に壊してくれていた。
ルームメートによる、二次災害。
「熱いっ熱いー!」
体温以上になりつつある温度に根をあげたのはイザークだった。
床に力無く座っているディアッカはというと、熱さでイザークを相手にする気力も失せ、ただうなだれていた。
「ディアッカ、涼しいとこにいくぞ!ほら、立て!」
イザークは椅子から立ち上がると反応を示さないディアッカの服をグイグイ引っ張る。
「涼しいとこって…当てでもあるわけ?」
「う…、無いが」
「思いつきで言うなっての」
何かあるとすぐに体で、声で騒ぎ立てる人間拡声器ことイザーク。
ディアッカはこれ以上付き合わされるのはゴメンとばかりにイザークに背をむけた。
「とにかく…ほら、いくぞ」
「……」
「ディアッカ!」
「やだ!」
「貴様ぁ…」
顔を背け、返事すらしなくなったディアッカにイザークは堪らず怒鳴り散らした。
「…もう知らんっ!貴様なんて蒸し焼き料理になればいいんだぁー!!」
完全に遮断態勢のディアッカをおいて、イザークは部屋を出ていってしまった。