メンデル研究室
□グゥレイトランチタイム
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数十分前。
キラを昼食に誘ってみれば快い返事が返ってきた。
部屋に一人で居たんなら、もっと早く来れば良かった。
―アークエンジェル・食堂―
「なぁ…キラさ」
ディアッカは正面に座るキラの紫色の瞳を見つめる。同じ色の瞳をしているが、それは自分よりも鮮やかな紫で、アメジストの原石を想像させる。
キラは言葉の続きを待つようにじっと自分を見ている。
「ホント可愛いよな〜」
「ゴホッ!!」
予想もしていなかったその言葉に、キラは飲みかけていた水を吐きそうになった。
「い、い、いきなり何言うの?前にも言ったけどね、僕…男だよ?」
顔を赤らめながらも念をおしてくるキラに苦笑する。
もしこの場に、アスランやイザークが居たら言えなかった言葉だろう。
キラ絡みの事になると、アークエンジェルクルー含め仲間内でお互い敵同士になる彼らを何度も見てきた。
特にアスランなんかに“敵”と見なされたら陰湿なイジメに遭いそうで、恐ろしい。
「そうか?キラがそう言うんだったら…そうなのかもな」
「『かも』じゃなくて、そうなんだよ!」
トレーの上に置かれた皿に残った野菜をフォークで弄んでいるキラを見てディアッカは微笑を浮かべる。
仕草まで可愛いんだから
アスランとイザークが偶然不在であったことにディアッカは感謝した。
フラガのおっさんやミリィ達の姿が見えないのは大方、機体の整備か他の場所にでもいるのだろう。
「ごちそうさまでした」
キラは行儀良く手を合わせ、フォークをトレイに戻した。
その声に何となくキラのトレイを見ると、一つの皿だけ空では無かった。