星にいのりをーReleaseー
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思い立ったら即行動。
まん太と優梨はヤクザ達のバイクの前へ飛び出して行った。
「死にてぇのかコラ!?」
いきなり走りを邪魔された為、一番先頭を走っていた男が怒り心頭で二人を怒鳴りつける。
当然その剣幕にどちらも怯えたが、ここで退くわけにはいかない。
「ぼ…木刀を……」
「あぁ?聞こえねぇな」
恐さからまん太は声をぼそぼそとすぼめるしかなかった。
「ぼ…」
「木刀を貸して下さい!!お願いします!!」
聞き返されてもう一度答えようとしたまん太を遮り、優梨が大きな声で懇願した。見れば彼女は地べたに正座して頭を深く下げて土下座している。
「お…お願いします!!」
そんな優梨に後押しされ、まん太も声を張り上げて突き付けられた木刀を掴んだ。
「ふざけんなガキ共が!!」
木刀を掴まれた男は木刀にぶら下がったまん太をそのままに、地面に正座した優梨をゴミ捨て場へ向かって殴りつけた。
当然まん太も優梨もゴミにまみれ、顔に大きな怪我を作った。まん太はそれでも木刀を離さず、優梨も痛みを堪えてもう一度地面に座りこんだ。
「なんとか言え!!」
「貸して下さい…木刀を貸して下さい…」
「しつけぇぞ!!」
まん太は必死で木刀を貸してくれるよう懇願したが、頭に血が昇ったヤクザは聞く耳をもたない。
すると頭を下げていた優梨が木刀を持った男の足を掴んだ。
「葉くんが……友達が殺されちゃうんです!!木刀を貸して下さい!!」
恐怖と苦痛から大きな涙をこぼしながら優梨は必死で訴えたが、別のヤクザに丸まっていた背中を思い切り踏みつけられた。
「うっ…!」
「優梨ちゃん!」
その後もヤクザ達の一方的なリンチが始まり、為す術の無いまん太と優梨は身体や顔に怪我ばかりが増えていく。
「ったくしつこいガキ共だぜ」
「ぼ…木刀を…」
「っ…木刀を…貸して下さい…お願いします…!!」
まん太と優梨はどんなに傷だらけになっても、どんなに怖くてたまらなくても、二人の心はひとつだった。
ただ葉を、友達を救いたいだけなのに。
「うるせぇ!!」
ヤクザは容赦無く木刀をまん太ごと優梨の頭に振り下ろす。
(葉君…)
ごめんね葉君。
僕達には何もできないのかな。
葉君は僕の為に戦ってくれてるのに、何もできないなんて。
前に優梨ちゃんが言ったこと、分かった気がする。
結局僕と優梨ちゃんは葉君と友達で居るだけで、何もないんだ。
力も知識も、何もかも。
葉君、お願いだよ。
君が優梨ちゃんを守る時みたいな底力を振り絞ってまだ死なないで。
もう僕の憧れは白竜だけじゃないんだ。
僕も、優梨ちゃんも、葉君にだって憧れてやまないんだ。
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