星にいのりを-Revolution-

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≡駄菓子の駄パンポ前≡


それは、葉と一緒の行動も段々板に付いてきた真夏のある日のこと。



「うわーっ今日もあっついねー…!」

三人は学校帰りにビルの一階に取り残されたようにある駄菓子屋に来ていた。
すぐそばには水がわきだしている場所もあるので、クーラーよりちょっと暑いのを我慢すればそばにあるコンビニよりも安上がりな上に買ったアイスクリームをすぐに食べられるのだ。

「ぼくソフトクリームね!」

「じゃあ私いちごのかき氷!」

「おばちゃん、オイラもかき氷二つくれ!メロンシロップで」

「あいよー」

それぞれの注文を聞き終えた恰幅の良い店主のおばさんは、ニッコリ笑って店の奥に引っ込んで行った。

そこでまん太と優梨はふっと気が付いた。

「え?二つも食べんの?葉くん」

「いくら暑いからってお腹こわしちゃうんじゃない?」

「ちがうよ、もいっこはこいつの分さ」

心配そうな顔をする優梨をよそに葉が懐からぬっと出したのは小さな黒い板のようなもの。これはどこの家庭にも仏壇に置いてあるものだ。

「「…位牌?」」

ご先祖様の依り代、というイメージがあるのでこうして不用意に持ち歩くのは罰があたるんじゃないだろうか、とも思うが葉のおおらか、と言えなくもない図太さならやれそうだ。

優梨がそんなことを考えている一方でまん太は位牌をまるでもう一人分と数えた葉に疑問符を飛ばしていた。

「こいつって…それただの位牌じゃないの?」

「おお。まずはこいつをここに置いてだな」

トン、と店内のテーブルに懐から出した位牌を置いた。

「んで、今度はこれを……真ん中に突き刺す!」

運ばれてきたかき氷(メロン)の頂上にスプーンがまっすぐグッサリ刺さっている。これはまるで。

「…あ!これってなんかお仏壇にあげるお供え物みたいだ!」

「ごはんとかによくお箸が刺してあるアレのかき氷版みたい…でもこれがお供え物なの?」

「その通りさ!だってオイラだけ食うわけにはいかないだろ?」

最後に自分の分のかき氷についてきたスプーンを手に取る。

「な、阿弥陀丸」

器をまるで鐘のようにちーん、と鳴らすと阿弥陀丸がドロンと姿を現した。ご丁寧にお供え物のかき氷を前に手を合わせている。

『かたじけないでござる』

「位牌から阿弥陀丸ー!?」


まん太のツッコミリアクションは日に日に冴え渡ってきた。と思う。



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